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第9章

「助かるよ…病気のせいで誰もこの島に来ねぇから。」
ノイに頼まれた食材を買った際に店主からの言葉を受け、マツリはお釣りを受け取るその手が震えてしまった。
「あ…すみません。」
「どう答えて良いのか分かんねーよな。」
ありがとよ、と礼の言葉を貰いマツリはメソドと歩き始める。
店が見えなくなった辺りでメソドが手を出せと言われ、お釣りを握ったままの手をそのまま開いたのを確認したメソドは、懐から小さな小瓶を出す。
「毎回こうして消毒しなければならないのですか?」
「風邪を拾いたくなきゃな。」
垂らした少量の消毒液は、手の平とコインの上に注がれ馴染んでゆく。
「向こうが話しかけてきた場合は仕方無いが、なるべく話さない方がいい…そこから伝う事もある。」
そういうものなのか、と病については何も知らないマツリは目を丸くする。
「…ある程度、揃ったな。」
買い物袋の中身を覗き一つ息を吐くメソドは、一度船に戻ると言う。
「戻ったら…それをするんですか?」
マツリが見ているのは、買い物袋では無くメソドがもう一つ持っている鞄だった。
ああ、と短く答える彼はマスクをしている事もあり、どんな感情を持っているのかは分からない。
その気になれば見透かす事も出来るのだが、それは彼が厭うのでなるべくしないようマツリは気を付けている。
「調査出来る範囲で病気の原因を探す。」
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