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第9章

「―それで、サナさんの答えにメソドさんは納得したんですね。」
なるほど、と頷くも目の前の彼は首を振った。
「いいえ。」
「え?でも今…。」
「今はそれなりに強くなったし、だいぶ寛容にはなったけれどね。」
当時を懐かしむよう微笑みながら彼は答えを口にする。

「調子に乗るなって言われたわ。」

自分の考えとはかけ離れた答えに、マツリは返す言葉を忘れ目が点になってしまった。
「ふふ、そうよね…わたしもメソドちゃんに言われた時、怒るより驚きの方が勝ってそんな感じになっちゃった。」
「え、えぇ…。」
「でも、今思えば確かにそうなのよねぇ~。」
手をひらひらさせてサナは話す。
「体を鍛えている途中なのに、生意気にも殺せるって宣言しちゃったんだから…殺すのも力が要るのに。」
「それは、そうなのですが…。」
マツリは混乱していた。
恐らくではあるがあの時メソドに嘘でも「殺せる。」と答えたのであれば、この答えが返ってきたかもしれない。
しかし、結果的にはどちらを答えたにしても、自分を戦闘から離そうとする回答が待っているのであれば、どう答えれば良かったのか…メソドにとっての正解がより分からなくなってしまった。
「まぁそんな事もあったけど、メソドちゃんからの鬼的修行を受けて今があるから…感謝はしてるけどね。」
二人にそんな過去があったのかと驚きはしたものの、肝心の事については分からないままでマツリは頭を悩ませる。
「…あたしも、メソドさんにもう一度稽古している姿をみて貰って認められなきゃ駄目なのでしょうか?」
「それは違うと思うわ。」
弱々しく出された一言をばっさりと切るような声が返された。
「さっきも言ったけど、恐らくメソドちゃんはわたしとマツリちゃんで言葉は同じでも質問を分けてる…わたしと同じ方法を選択しても突っぱねられて終わると思う。」
じゃあどうしたら、と音を上げそうになるもずいっと先程作りかけた衣服が目の前に現れる。
「ヒントはここまで…これ以上はわたしが彼に怒られてしまうもの。」
休憩時間は既に終わっていて、衣服作りを再開するわよ~と声を掛けるサナに納得がいかない様子ながらも、マツリは針と糸を手に取った。
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