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第9章

休憩している間ではあるが、マツリは服の作り方を知りたくてサナに渡された本を開いてみる。
「…凄い。」
そこには、服作りに必要な方法もしっかりと書かれていたのだが、マツリが注目したのは実はそこでは無く。
「あら恥ずかしいわね…。」
「そんな事無いと思いますよ!」
本には、昔サナが書いたであろうメモ書きがびっしりと書き込まれていた。
「本を大事にする人には怒られそうだけれどね…わたしにとってこの本は教科書だったから、書き込んで使った方が分かりやすかったのよ。」
「なるほど…サナさんがお勉強の時にノート以外にも文字を書き込んで良いってお話ししていたのを思い出しました。」
現在達人の域にいる彼でも、昔の研鑽があって今があるのだなぁとマツリはサナの努力の痕跡をなぞりながら考える。
「そうね…わたしはこの船に来た時は、何も出来なくて無我夢中で出来る事を増やそうと躍起になっていたわ。」
そう思うと今のマツリちゃんみたいな感じかしら?とサナは微笑む。
「服の作り方もそうだし、船の操縦や帆の張り方、釣りもそうだし…何より。」
少しその表情を苦くさせ、彼は呟いた。
「メソドちゃんに戦い方を習った時は…ちょっと、大変だったわね。」
そこで思いもしなかった名前が出てきてマツリは思わず「え?」と声を零してしまった。
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