それから、いつも通りノイと鍛錬をしてから、マツリは別の人物に会いに行った。
「あら、マツリちゃんお疲れ様。」
にこやかに出迎えてくれたのは、サナだった。
マツリが今訪れたのは、ノイとサナの部屋である。
「ノイちゃんはまだ鍛えるって？」
「はい、あたしより遅く来たからと。」
「そこの勤勉さをもう少しお勉強にも活かして貰いたいわね～。」
ちらりと視線を送られ、自分の事では無いと思いながらもマツリは冷や汗が流れるのを感じた。
「そっそれでですね、最近寒くなってきたので、あたし半袖の服しか持っていないから、サナさんに長袖の服の作り方を教えて頂きたいなと思いまして…！」
「ふふ、マツリちゃんの自分で頑張ろうとする考え方好きよ。」
ちょっと待ってね、と部屋に置かれているソファーに座るよう促されたマツリは、サナに掛けられた言葉に甘えリラックスしてソファーに腰を下ろす。
「生地はいっぱい持っているわ、この中から選んで貰っても良いかしら？」
「はい。」
ソファーの前に置かれているローテーブルに置けるだけ置かれた生地たちは色とりどりの輝きを放っている。
「本当にいっぱいあるんですね！」
「ええ、わたしもそろそろ冬物を作りたいと思っていたから、マツリちゃんが提案してくれて嬉しかったわ…ただし無駄遣いは駄目よ、作る方法を教えるから、気に入った色と生地を厳選して選んでね。」
サナの言葉にマツリはしっかりと頷き、勇んで自分の身につけたい生地と色を選んでいった。