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第9章

質問を投げたのは自分だが、答えるその顔を見る事が出来なくてマツリは視線を下に向けてしまう。
「それを俺に聞くのはちげぇと思うぞ。」
その言葉にマツリは目を丸くした。
「お前がケンカについてどう思っているのか…それが一番大事だろ、俺の考えを聞く事じゃねぇ。」
そもそもお前を戦わせたくないなら俺はこうして教えていねーだろ、と正論を言われ目の前の彼女は呆気に取られている。
「それとも何か、メソドに向いてねーって言われたからお前は鍛錬を止めちまうつもりのか?」
「それはしませんよ!」
「じゃあそれが答えだろ。」
ノイからの問い掛けに感情的な言葉で答えてしまったマツリは、濃い霧の中で隠れてしまっていた様な自分の気持ちを見つけた気分になっていた。
「そっか…あたし、戦いたいんだ。」
疎んじていた自分の力が通じる、相手を少しでも抑えれば他のメンバーの動きも良くなる、終わりが見えない冒険を少しでも長く続けていたい…最初こそ自分の為と思って始めた鍛錬だったが、いつの間にか自分だけでは無く、海賊の皆の為も思って動くようになっていた、だからこそ。
「メソドさんに武器を取らなくていいって言われた時…悲しかったんだ。」
自分は戦力外だから必要では無いと言われている様な気がして、あの時咄嗟に自分の気持ちを言う事が出来ず黙ってしまったマツリは、後悔の念に駆けられる。
「今言えるなら言いに行った方が良いんじゃねーか?」
「メソドさん昨日夜勤だったから、恐らく今はもう寝てます…。」
「そういうやそうだったな。」
それに、とマツリは付け加えた。
「メソドさんが一番重要視していた人を殺める事…その覚悟について、あたしはよく分かっていないのでまだ考えたいです。」
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