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第9章

足首を回してから足全体の曲げ伸ばし、手首も回して片腕ずつ反対側へ伸ばす…すると、少しずつではあるが、体が動き始めるスイッチが入ったかのようにマツリは思う。
丁寧にしていないと、手首を捻ってしまったり、突き指、打撲をしてしまうので、いつも念入りに行うように彼女は心掛けていた。
ぐぐぐと背筋を縦に伸ばしていると、扉が開く音がする。
「あれ、メソドさん?」
誰も使う事の無い時間だと思い込んでいたマツリは思わず声を掛けてしまう。
「…おう。」
声を掛けられると思っていなかったのか、メソドは少し遅れて返事をする。
「ひょっとしてここ使います?」
「いや…武器を忘れたから取りに戻っただけ、気にしないでくれ。」
確かに部屋に入ったメソドが辿り着いたのは、壁の隅に置かれていた短刀数本あった。
なるほどそれならばと納得したマツリはそのままストレッチを再開する、マツリの後ろで短刀を回収し終わったメソドはこのまま鍛錬室を出て行くかと思いきや。
「…あの、メソドさん?」
体の準備も終わったので、このまま槍を持ち動きの確認をしようと思ったマツリが、動かないメソドに耐えきれず再度声を掛ける。
「その…何故部屋から出ないのです?」
「気になったから。」
どういうことだろう、と思うとその答えが彼の口から放たれた。
「君が今…どれだけ戦えるのか、気になったから見てみたい。」
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