第8章
「いやはや大変でしたな!」
調理場で料理を作っていたノイの元に今回は殆ど船に引きこもっていた船長がやってきて労いの言葉を掛ける。
その手元には、新聞が握られていた。
「『長きに渡る調査!やっと助かった子ども達』…長年警官が探せなかった観光客を狙った金銭強盗がお縄についたきっかけは、親に売り飛ばされ強制的に働かされた子ども達が警官に助けを求めてアジトを見つける事が出来た…だそうだ。」
新聞を読むその声に「そうっすか。」と適当な相槌が打たれる。
興味なさげな彼に対しても、船長の記事の音読が止まらない。
「何故か強盗達は、アジトの外で何者かに眠らされていた様子で、地下に潜っていた残りの酒に酔っていた者達も、捕まえる事が出来た…先日子どもの誘拐犯として捜索されていた者はこの強盗達の仲間らしく、一緒に捕まえる事が出来た―だってよ!」
本物はここにいるのになー!と爆笑する船長にノイは眉間に皺を寄せる。
「都合良く金髪髭面がアイツらの中に居て良かったな…まぁそれもこれも、マツリちゃんが警官の前ではお前の体を隠したのと、その後で船の中でサナがセットして少し若返りさせてくれたお陰だな!」
「…若返りじゃねーっす。」
そういってくるりとやっとこちらを向く。
その髪型、顔は。
いつもなら、金髪をオールバックに流し、顎に髭を生やしているのだが。
前髪が降ろされ、髭も剃られたものとなっていた。
「いやでも、ぶっちゃけそっちの方が年相応に見えるって…今何歳だっけ?」
「27っす。」
「老け顔!」
爆笑する船長に今夜の夕飯はひっそりと量を少なくしようかと思った所で、扉が開く音がする。
「ノイちゃん。」
呼ばれたその声にびくりと心臓が跳ねる。
沢山弄って満足したのか、これから来るであろう修羅場に危惧したのか、船長は早々に去って行く。
「色々あったけど、お疲れ様…お怪我は大丈夫かしら?」
「あ、ああ…問題無い。」
嵐の前の静けさか、その穏やかな様子は帰って恐怖心を煽る。
「そう、それは良かった…なら、お話し合いも出来るわね。」
しまった仮病でも使うべきだったと後悔した所でもう遅い。
「お財布の金額を確認したけれど、購入した物の行方が一切分からないのよねぇ………ノイちゃん、何処にやっちゃったの?」
「えっと、それは………その……………。」
警官から逃げる際に子ども達を抱える為に邪魔で置いてきた買い物袋。
後からあの場所へ行ってみたものの、その姿形すら確認出来なかったノイは、顔を青くさせる。
「今回、貴方のしでかした事は一つじゃ無い…どうにか丸く収まったけれど、わたしも、女の子達にも、迷惑が掛かった事…忘れていないわよね?」
汗が勝手に流れ、下手な声も上げられない、先日は絶望的な状況で笑っていた男は、味方に対して酷く弱らされていた。
「まずは反省文…それから暫く算数の宿題を倍増しますね、異論は認めませんよ。」
返事は?と有無を言わさないその視線に大男は「おう…。」と答えるしか出来なかった。
調理場で料理を作っていたノイの元に今回は殆ど船に引きこもっていた船長がやってきて労いの言葉を掛ける。
その手元には、新聞が握られていた。
「『長きに渡る調査!やっと助かった子ども達』…長年警官が探せなかった観光客を狙った金銭強盗がお縄についたきっかけは、親に売り飛ばされ強制的に働かされた子ども達が警官に助けを求めてアジトを見つける事が出来た…だそうだ。」
新聞を読むその声に「そうっすか。」と適当な相槌が打たれる。
興味なさげな彼に対しても、船長の記事の音読が止まらない。
「何故か強盗達は、アジトの外で何者かに眠らされていた様子で、地下に潜っていた残りの酒に酔っていた者達も、捕まえる事が出来た…先日子どもの誘拐犯として捜索されていた者はこの強盗達の仲間らしく、一緒に捕まえる事が出来た―だってよ!」
本物はここにいるのになー!と爆笑する船長にノイは眉間に皺を寄せる。
「都合良く金髪髭面がアイツらの中に居て良かったな…まぁそれもこれも、マツリちゃんが警官の前ではお前の体を隠したのと、その後で船の中でサナがセットして少し若返りさせてくれたお陰だな!」
「…若返りじゃねーっす。」
そういってくるりとやっとこちらを向く。
その髪型、顔は。
いつもなら、金髪をオールバックに流し、顎に髭を生やしているのだが。
前髪が降ろされ、髭も剃られたものとなっていた。
「いやでも、ぶっちゃけそっちの方が年相応に見えるって…今何歳だっけ?」
「27っす。」
「老け顔!」
爆笑する船長に今夜の夕飯はひっそりと量を少なくしようかと思った所で、扉が開く音がする。
「ノイちゃん。」
呼ばれたその声にびくりと心臓が跳ねる。
沢山弄って満足したのか、これから来るであろう修羅場に危惧したのか、船長は早々に去って行く。
「色々あったけど、お疲れ様…お怪我は大丈夫かしら?」
「あ、ああ…問題無い。」
嵐の前の静けさか、その穏やかな様子は帰って恐怖心を煽る。
「そう、それは良かった…なら、お話し合いも出来るわね。」
しまった仮病でも使うべきだったと後悔した所でもう遅い。
「お財布の金額を確認したけれど、購入した物の行方が一切分からないのよねぇ………ノイちゃん、何処にやっちゃったの?」
「えっと、それは………その……………。」
警官から逃げる際に子ども達を抱える為に邪魔で置いてきた買い物袋。
後からあの場所へ行ってみたものの、その姿形すら確認出来なかったノイは、顔を青くさせる。
「今回、貴方のしでかした事は一つじゃ無い…どうにか丸く収まったけれど、わたしも、女の子達にも、迷惑が掛かった事…忘れていないわよね?」
汗が勝手に流れ、下手な声も上げられない、先日は絶望的な状況で笑っていた男は、味方に対して酷く弱らされていた。
「まずは反省文…それから暫く算数の宿題を倍増しますね、異論は認めませんよ。」
返事は?と有無を言わさないその視線に大男は「おう…。」と答えるしか出来なかった。