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第8章

先程危機を教えてくれた子ども達は泣いてしまいすぐに教える事が出来ず、背後の影はノイに刻々と迫っていた。

「遅かったじゃねーか。」

しらっと呟くその言葉が出た瞬間。
ノイに襲いかかろうとした残党が横へ倒れる。
その足には無慈悲にナイフが刺さっていて、最初は苦痛で顔を歪ませていたが、褐色肌の少女が持っていた袋の口を彼の顔に押し込むと次第に体の力が抜け眠ってしまう。
「随分な言い草ですね、遅くなったのは貴方のせいですよ。」
苦言を零すのは、紅色の髪を持つ美形だった。
「へーへー。」
「散々被害を広げておいてその態度…本当に貴方は」
「あのあの!サナさん一度納めて下さい!!」
下手したらノイにそのダガーを向けそうな勢いだった為、マツリが声を上げる。
「ガーナちゃんが持ってきた植物の眠り粉でこの人達寝かせてくれている間に逃げましょ…話は………船に、帰ってから、で……………。」
示談を提示してみたものの、サナの顔面の迫力にかなり彼女は気圧されている様子だった。
「………その子達は?」
そこで後ろにいた子ども達の存在に気付いたサナはノイに聞く。
「ん…いや、いい放っとく。」
ノイの言葉からここで別れになると、彼等は理解出来た。
歩き始めた彼等に、子どもは声を張り上げて伝える。

「おじさん、ありがとー!」
「ありがとー!」

おじさんと呼ばれ、笑いを堪えきれないガーナを見ながらノイは聞こえないと思いながらも呟く。

「次に会うときは、せめておにいさんって呼んでくれ。」
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