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第8章

「凄い…。」
「う、うん…。」
巻き込まれないように隅に逃げていた子ども二人は、体を抱き寄せお互いを守っていた。
「ね、にーちゃん…。」
「何だ。」
「もし…おじちゃんが勝ったらどうする?」
弟の問いに、兄は回答に迷う。

自分と弟は長くこのやり口で助けようとしてきた大人達を騙し、金を毟り取ってきた。
悪い事をしているとは思っている、しかし自分達を囲う大人達は、これを成功させないと食べ物を与えて貰う事をしてくれず、母親も彼等に自分達を任せた後、何処かへと消えてしまい、もう顔も声も薄らいでしまっている。
警官の存在は知ってはいたものの、自分達も悪い事に協力している事もあり、捕まってしまうと思い逃げる事しかしてこなかった。
「どうすれば…いいの」
ぽつりと零した一言は、後ろから伸ばされた手に遮られる。
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