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第8章

一人の男が複数人の武装した男達に取り囲まれている。
対して一人の男は丸腰、武器も何も持ってなどいない。

味方も、助けも来ず、このままであれば前後左右から一方的に叩きのめされて終わるだろう。
だがそれは、一般人だったらの話。

「久々のケンカだ…精々楽しませてくれよ!」
自身に牙を向いてきた剣やナイフを避け、一度低い体勢となり近くにいる男達に向け足払いをする。
数人それで倒れるものの、止まっていられない敵は後ろにもいるのだから。
ダガーがノイの左耳を掠めるが、切られてはおらず投げた相手の正面を取り腹に向けて重い蹴りを一撃入れる。
「俺の知ってる船大工や船医より、投げがお粗末だぞ。」
「ッ…余裕ぶってんじゃねーぞ!」
次々に来る攻撃に、それでも彼は笑顔でそれを向かい入れる。
まるで、踊る様に打撃や刃物を避け、流れるように蹴りを繰り出す。

日頃、料理の研鑽や自身の筋トレを欠かさない彼ではあるが。
ノイは海賊達の中で一番…ケンカが好きな男だった。
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