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第8章

「ここか。」
子ども達に導かれ、辿り着いた先はひっそりとした場所。
案内されなければ来る事も無いだろう場所に、ノイは懐かしさを感じていた。
(町中の路地裏、日が入らねぇジメジメした隠れ家…やっぱりな。)
家が無い人々の路地裏生活はこの様なものだ、と自分の記憶をなぞっていると、子どもに手を引かれる。
「こっち。」
ぐいぐいと引っ張られ、簡易的に木材で立てられたその中へと案内された。
小さな家かと思いきや、中に入ると土の匂いが鼻につく。
「地面の中なのか。」
「うん。」
どうしたものかと考えた末、一度彼等にこう伝える事にした。
「さっきの奴が近くにいるかもしれんから、まずお前らだけ先に行って中に母ちゃんか父ちゃんがいればこっちまで連れてきてくれ。」
地下では逃げ場が無くなるからなと告げられ、子ども達は戸惑いながら「分かった。」と言い先に中に入っていく。
地下へ降りていった事を確認したノイは、そのままそっと外へ出て行き小屋から少し離れた場所で様子を窺う。

暫くすると、外に出てきた子ども達がノイの姿を確認出来ず、戸惑っている様子で辺りを見渡している。
その子ども達より後からのっそりと現れたのは、大きな男であった。
自分と同じぐらいだろうか…とノイが考えていると、鋭い目付きで子ども達を睨んでいる。
子ども達の顔が青ざめ身を竦めたと思った瞬間に掲げられたその腕、それを。

バシリッ!

ノイは男の横っ腹に一蹴り入れた。
「…痛ぇな、何しやがる。」
低い声でこちらに言葉を投げる相手に、子ども達を自身の後ろに移動させノイは言い切る。
「それはこっちの台詞だな、ガキ共に何しようとしたんだ?」
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