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第8章

そうと決まれば即座に動くしかない、船着き場から離れなるべく人の目が無い道を選びながら、まずノイは自分よりも道を知っているであろう子どもに聞いて見る。
「滅茶苦茶動いちまったが、道は分かるか?」
「大体は…だけど、お母さんはいつもの場所にいなかったから。」
「家の事か?」
ノイの問いに彼は首を振った。
「僕達家は無いの…。」
「そうか。」
別に珍しい事では無いだろう、とノイは深くは言及せずただ彼の言葉に相槌を打つ。
その返しに驚いたのは子どもの方だった。
「…驚かないの?」
「俺は家が今は船だし、船に入る前は家が無い事もあった…それに、お前らにとっては家が無いのが普通だろ。」
それとも気にして欲しかったのか?と聞くとぶんぶんと否定の意を示す子どもについ溜息を吐いてしまう。
「色々言われてきたかもしれねーが、気にしなくていいと思うぞ…キリがねぇ。」
そういえば、とノイは改めて彼に事の発端を聞いていない事に気付いた。
「そういや、お前ら何で母ちゃんとはぐれちまったんだ?」
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