このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

第8章

船に行こうと思ったんだがなぁと、ノイは胸中で呟く。
彼等は建物の影に隠れているが、その向こう船着き場では警官達がうろうろしていて、空気が読めない彼でも、今自分がそこに出てしまったらどうなるのか想像が容易に出来た。
「流石に一人じゃどうする事も出来ねぇと思ったんだがなぁ…おい、腹減っていないか?」
本人達にとって緊張の連続であろう今の状態に、今後の為を考えノイは子ども達に問い掛けると幸い首を振られる。
「平気。」
「僕も。」
そうか、と頷くも、ノイは少し難しい表情をしてしまう。
(こういう時に限ってリンリン草持ってねぇし…そもそも、今の外出がアイツにバレるのも…いやもう最悪バレているか。)
本当は避けたかった選択肢だが、馬鹿だろうがなんだろうが自分はこれ以上の行動は起こせないと、腹を決めた。
「すまんな、警官達がうろうろしていて船に行けん。」
だから、と幼い子どもに彼が出来る限りの優しい声で話しかける。

「だから、とっととお前らの母ちゃんを見つめる…飯を食うのはそれからになるが、いいか?」

改めて確認を取ると、ノイに頼る事しか出来ない事が分かっているのか、子ども達は物分かり良く頭を上下に動かした。
8/19ページ
スキ