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第8章

「なぁ、ノイ知らないか?」

今日作る分の献立について栄養素のチェックを頼まれ書類を渡す為料理人を探しに食堂に来たメソドは、目の前に広がっていた光景に口を閉じる。
「この子達に聞いたら?」
「知りませんよぉ…。」
「ガーナも!」
椅子に座り体を縮こませている彼女達の前にいるのは、優美な外見を持ちながらも今はその顔に全く感情を乗せていないサナだった。
「何でこうなっているんだ…。」
「逃げられたのですよ。」
苛立ちが滲み出ているその口調にメソドは察する。
「…そっちに詰め寄らんでも、アイツが行きそうな所とか食材がある所しか無いと思うけど。」
メソドなりの助け船を出したつもりだが、サナはいいえと首を振った。
「まずはこちらからですよ、自業自得に連帯責任…これらをしっかり教え込む必要性があります、子どもだからとか女性だからとか、そういった配慮はしませんからね、ルールに関しては特に。」
冷たいその瞳に見つめられ、マツリとガーナはお互いを抱き合う事しか出来ない。
これ以上はノイ本人が帰ってこない事には矛先が変わらないな、と諦めたメソドは医務室へ戻ろうとしたその時だった。
「おーっす、皆の衆元気してるー?」
「相変わらずの遅い起床ですね、おはようございます。」
皮肉交じりの一言でも、厳しいな!と爆笑されて終わる。
「っと、やっぱりノイはいねーか。」
「………やっぱり、というのは?」
船長は恐らく今の今まで寝ていた様子なので、外出している事を知らないと思いマツリは問い掛けると、船長からこの様な言葉が返ってきた。

「さっきさ、警官から注意喚起受けたんだよ…金髪で顎に髭生やした大男が子ども二人を攫ったから気を付けろってさ。」
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