第8章

その場から全力で逃げ出し、後ろから声が聞こえなくなったと確認して人気の無い別の路地に辿り着く。
「はぁ…はぁっ…、この辺りならもういいだろ。」
両脇に抱えていた子ども達を降ろすと、その手に空いた感触にある事を思い出す。
(…買い物袋がねぇ。)
幸い財布はポケットの中に入れていたものの、肝心の購入した食材達が入っていたバッグを警察らしき人物から逃げる時に落としてしまったらしい。
思わず天を仰ぎ苦い表情をしていると、ズボンの裾をちょいちょいと引っ張られ、地面に視線を向けた。
「おじさん、助けてくれてありがとう。」
「…おう。」
思う事は多々あれど、とりあえず目の前の子ども達の助けになれたようで良しとしたノイは、子ども達に改めて聞いて見る。
「お前ら、あの警官に追われているのか?」
「………よく分からない。」
肯定とも、否定とも言えない曖昧な言葉が帰ってきた。
それでも、彼等から貰える手掛かりを探す為に、ノイは言葉を掛ける事を止めない。
「お前らの母ちゃんは、アイツとは仲が悪いのか?」
「悪い…と思う。」
なるほど、とノイは先程警察に相対した時の彼等が怖がっている様子に納得がいった。
「………ま、善も悪も、場所によっちゃ変わりまくるモンだしな。」
ぽつりと呟くその声に、足下にいる子ども達は首を傾げるも、大人は「いい、知らんでも。」と首を振る。
「とりあえず、アイツに捕まらない内にお前らの母ちゃんを見つけなきゃなんねーな。」
ただの迷子だと思えば訳あり、しかも警官に捕まらない様に動かなければならない状況に今一度彼は気を引き締めた。
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