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第8章

サナがいない道の方へ出て、二人を連れて船へ帰ろうとしたその時だった。
「おい、そこのお前!」
突然大きな声で呼び止められたノイは後ろを向くと、そこにはサナとは別の意味で注視しなければならない存在がいた。
「そこの子ども達を連れて、どこへ行こうとしてる?」
制服に身を包んだ男はまさしく先程話題に出ていた人物…警官だった。
(何だ、いたのか。)
ならばここからは自分の仕事では無いだろう、ノイは足下にいる子ども達へ目を向ける。

二人は離すものかというように彼等が持てる力の限りを持って、自分の両足にしがみついていた。

「…コイツらに頼まれて、母親を一緒に探していた所だ。」
何だ、というように彼の両肩の力が抜けたのが分かる。
「なら、ここから先はこちらの仕事だ…任せてくれないか?」
その手が子ども達に伸びる、子どもが身を竦めた瞬間。

パシリッと乾いた音がした。

「………業務妨害でしょっぴくぞ。」
警官の手を払いのけたノイはその強面を更に厳しくさせながら口を動かす。
「悪ぃな、だが…子どもからいいよも何も言われてねぇのに手を伸ばすのは…誘拐と変わらんと思うぞ。」
咄嗟にノイは二人を両脇で抱え、警官の顔に向けて蹴りを放つ。
「ぐ、う…!」
「すまんが、そこで寝てろ…代わりに仕事変わってやっから。」
倒れた警官を見る事も無く、ノイ達はそのままそこを離れた。
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