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第7章

怪盗を探している時より騒がしくなった周囲の音を聞きながら、海賊達は無事に集合出来た。
「おつおつ~。」
「…早く鑑定して下さい。」
色々聞きたい事も言いたい事もあるのだが、時は待ってくれない。
ならばこちらから先を促してこの厄介事を終わらせるしかないとばかりに、マツリは船長の目の前にティアラを差し出す。
「お~本当に盗めたんだね、流石。」
「もういいから、早く終わらせて下さい。」
半ば魂が口から出かかっている状態の彼女を見て「褒めていたんだけどな~。」と言いつつも船長は懐から出した虫眼鏡でティアラに埋め込まれているパールを食い入るように見つめた。
「あ、残念ハズレだ。」
「え。」
あんまりにもあっさりと言われ思わず声が出てしまったマツリに、船長はすぐにその手元にティアラを置く。
「うん、確認出来たしもう返していいよ~美術館でも交番でも好きなとこに置いてきてもいいし、気に入ったなら貰っても」
「貰いません!そういう事なら返して来ます一人で!!」
歯をむき出しにしながらマツリは「皆さんは先に船に戻っていて下さい!」と言い残しその身を消して何処かへと駆けていった。
「…いつも思うんだがどうやって見てんだ?」
マツリの足音が聞こえなくなった辺りでノイが船長へ聞くと「簡単だよ。」と彼は答える。
「宝石に紋章が刻まれているんだと、どんな形かは分からねぇが細かく見ねぇと確認出来んからこうしてちまちま鑑定してるんだが。」
「………それって、最初美術館に行った時点であいつに見て貰ったら分かったんじゃねぇのか?」
「「……………。」」

訪れた沈黙。

「まぁ今回は経験を積んだという事で!」
「恨まれますよ。」
言わなきゃいいだろ~とその表情を緩めながらさっさと帰ろうとする船長の首根っこを掴み「逃げた植物の回収を忘れないで下さい。」ときっちり逃がさないメソドとノイは彼を引きずりながら逃走している植物達の回収へと向かった。
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