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第7章

何かあったのか、と大人達が声を掛ける前にその異変は起きる。
たったったっと小刻みな音がして、誰かがこちらに来るのだろうかと二人は身構えるが。
建物と建物の間、その隙間に一瞬だけそれが出てきた。

足の生えた植物が。

「「……………。」」
その植物が走り去ってゆくと、すぐに複数の警官達がマツリ達には気付かずにそれを追っていく。
呆気に取られている面々の中から、最初に声を出したのは。
「…何か変なの走って行ったな。」
自身も変な存在の一つであるミツメだった。
「あれって…。」
「…ガーナが育てている植物の一つだな。」
何とも言いがたいというように眉間の皺を深く刻んだメソドはすぐにリンリン草を手に取る、繋がった先は。
「何やってんですか、貴方は!?」
『やっほー、元気に逃げてる~?』
この珍事の原因であろうお気楽な男、船長はメソドの怒り混じりの声に怯みもせず声を掛ける。
『いや~こっちもあんまり船探られると困っちゃうからさ~雑貨商って事にして見て貰ったわけ。』
それでね、と言葉が続く。
『特にしつこい訳じゃないけれど、そっちの方も心配だったから、警官達が良い感じに気が逸れる事起こそうと思って。』
「それがアレですか?」
帰ったら速攻物騒な事を起こしそうな気迫のままに彼が話す。
『ガーナも起きてくれたしね、未開の土地で取ってきた貴重で不思議な植物として説明して、その流れで走れる植物達に動いて貰って船から脱走して貰ったの。』
「なるほど…一部の警官はそれに気を取られるので、集中が逸れる…と。」
どうにか怒りを飲み下しメソドが答えた所で、船長から提案が来る。
『オレ今植物を探すついでに外にいるからそっちにいけるぞ~ついでに宝石の鑑定もするから動くなよ~。』
やっている事は滅茶苦茶ではあるが、結果的に事をどうにか穏便に納めることが出来そうだと把握し、一同は溜息を吐いた。
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