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第7章

マツリを背負ったまま走ろうとしたノイはその声にピタリと止まる。
『そう…やっぱり元々いる島民達より怪しいよそ者からいうことで片っ端から外から来た船を調べているみたい。』
通話の相手はサナであり、その声は小さなものとなっていた。
『勿論、聞き取りが終わったら帰ってきても大丈夫だと思うわ。』
それまでに船以外の場所を回って欲しい旨を伝えられ、そのまま通話は終わる。
「…どうすりゃいい?」
会話の様子を見守っていたノイはマツリに意見を求めた。
「正直…厳しいです。」
少女は顔を渋くさせて現状の確認をする。
「まだ美術館からそんなに離れていません、周囲にはまだ警官達もいますし…変な動きをすればすぐ突かれるかも。」
「お前達の能力はどこまで保ちそうなんだ?」
「マツリだけ透明にするなら3時間、兄ちゃんも一緒なら1時間って所だな…だが能力に集中する為に負ぶって貰っている事を考えての時間だ。」
「その時間まで背負ってずっと逃げ回んのは、流石にきちーな。」
ノイが今マツリを背負っているのは、透明化に使う能力消費の為体力を温存する為にしている行動であり、身を隠す能力を持続させる為に必要なものだった。
「…まずはメソドさんと合流しましょう、まだノイさんが使っている制服を返していませんから。」
そこで、マツリはメソドと連絡をする為にリンリン草を手に取る。

「なるほど、状況は理解出来た。」
合流したのは正解だな、とメソドは冷静な判断が出来た二人を褒める。
今マツリとノイは、メソドと連絡を取りすぐに襲い眠っている警官の自宅へ到着していた。
「件の警官は眠り薬でよく寝ている、顔も見られていなかったから恐らくこのまま逃げても大丈夫だ。」
念の為に体を拘束していた縄を手早く解き、彼はマツリとノイに対して指示を出す。
「ここからはただ見つからなければいい話だ、オレが先を歩くからなるべく足を立てず付いてきて欲しい。」
「おう。」
「分かりました。」
船長達から警官達が船を離れる連絡を待つことにした彼等だが。
船に残っている海賊達にも危機が訪れていた。
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