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第7章

ここで冒頭へと戻る。
シジマ島の警察署に見せられた一通の手紙、それは美術館の館長が出した物だった。
「あ…朝、起きたらコレが美術館のポストに…。」
盗人が入った事はあれどこのように事前に予告する者はおらず、初めての事に戸惑っている様子の館長から手紙を受け取った警官はすぐに上司へ報告、すぐさま指定された日時に美術館へ緊急の警備を手配する事となる。

コツン、カツンと石の床を靴で音を鳴らし、厳しい顔をした警官がそこへやってきた。
「全く…折角の展示会が台無しですな。」
弱った様子でパールのティアラを見ている館長へ話しかける。
「ええ…楽しみにして下さった方々に申し訳なく思います。」
念の為、犯行予告のあった日は展示を急遽中止し、警官達の打ち合わせに時間を置いたのだが、入り口で中に入れないと知った客達が渋面を向けてきた事に館長は胃を痛めている様子だ。
「まぁ致し方ありません…それに、今日来た方々には次回来た際の割引券もお渡ししたのでしょう?誠実な対応だったと思いますよ。」
「そうでしょうか…だったら良いのですが…。」
緊張解しもこのくらいが良いだろうかと考えながら、男はティアラ周辺にいる部下の警官達へ声を掛ける。
「予告の時間までもうすぐだ、気を抜くなよ!」
近くに置いてある振り子時計が始まりの音をその場に響かせた。
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