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第7章

どんなに暗い夜が来ても、等しく朝日は昇る。
小さな女子会が開催された夜は過ぎ、気まずく感じる朝がやってきたが、ガーナに付いて来て貰いマツリは食堂に辿り着く、その瞬間ゴンッ!と重たい音が響いた。
「昨日は誠にすみませんでしたぁ…。」
うめくような声を出すのは船長、そしてその頭を鷲掴み食卓にめり込むように伏せさせているのはサナである。
「…あの、サナさん、そこまでしなくても。」
「いいよ、アレくらいした方がせんちょうに事のじゅうようさが伝わるから…ってたぶんサナは思っているよ。」
ガーナの一言にサナは無言で頷く。
「それにこんな野郎のツラなんて拝みたく無いでしょ?…今日中は顔を見せないようにわたし頑張っちゃうから!」
頑張りの方向が明らかに違うような気がするのだが、話が一向に進まなくなりそうなのでマツリはぐっと喉に押し込めてまず朝食に集まった海賊達に向けて頭を下げる。
「…昨日は、その…お騒がせしてすみませんでした。」
その場に居る全員の視線を感じながら、臆せず彼女は口を動かす。
「凄く楽しくて浮かれていて…気持ちの制御が出来ませんでした、以後気を付けます。」
でも!とマツリは強く告げる。
「………やっぱり、事情の無い限りは、人が持っている大切な美術品を盗みたくありません…確かに昔盗みを働いていましたが、だからこそ…もうやりたくないんです。」
一番伝えたかった事、それをもう一度口にした。
「…うん、分かった。」
それに答えたのは、いまだ顔を上げる許可を得ていない船長。
「マツリちゃんの気持ち、しっかり知る事が出来て良かった…言いにくい事伝えてくれてあんがとね。」

責められるかも、怒られるかも、もしかしたら最悪船を降ろされるかも。
そう考えていた彼女は船長の一言に安堵し、その見えすぎる視界が揺らぐ。

「あら…あまり強く擦っちゃダメよ、綺麗なお肌が傷付いてしまうわ。」
「ほらマツリ、ハンカチハンカチ!」
二人に気遣われ、マツリは真っ赤になりながらも食卓へ歩みを進めた。
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