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第6章

頭を捉え他の賊達も拘束する事が出来たガーナは、その口を開いた。
「…今にげるなら、何もなかったことにしてあげるよ。」
「は?」
このまま他の賊達への見せしめとして張り付けられるかと思いきや、甘すぎる処分を告げる彼女に彼は思わず間抜けた声を出してしまう。
「にげるなら、ね…でも、もしこのまま船からあるもの奪おうとするなら。」
ぎり、と首に棘が刺さりそうなすれすれの位置まで植物が動く。
まるで自分の返答を待っているように。
「どうするの?」
何故ガーナが無闇に彼等へ傷や命を削る行為をする事無く、この様な一見慈悲にも見える行動をするのか。
それは、彼女の腕となり足となり動く植物達に理由がある。
(これいじょう…あの子達にひとの血のあじなんておぼえさせちゃいけない…!)
ガーナの血を注ぐ事は問題が無い、しかし他の人物達となると話は別だった。
自然で生きていた動物達が、巡り合わなかった人間と出会い、殺し、食した結果、味を知るように、ガーナの血で育てた植物達も、凶悪な人食い植物と化し同じ末路を辿ってしまった事があり、ガーナは二度と同じ過ちを犯すまいと必死になっている。
(勝手にあやつっておいて、都合がわるくなったらころすなんて…もうしないもん!!)
故に彼女の行動は守りに特化していた、しかし。

守りが完璧ではあっても、弱点は有る。

「頭ぁ!!」
後ろから叫び声がし、後ろで拘束されていた部下の一人が頭に対して光る物を投げつけられた。
それが棘を生やしている枝に当たると、その植物の叫び声がガーナの耳に届き思わず幼女は両耳を抑える。
「…なるほど、な。」
形勢逆転、光が枝に伝っていくのを確認しながら頭は笑う。

「火には…勝てなかったみてぇだな、嬢ちゃん。」
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