このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

第6章

糸が張り詰めたような緊張感の中、先に動いたのはガーナの背後にいる植物達だ。
めきめきと音を立てながらいまだに成長が止まらないその枝は主であるガーナは傷つけないよう動き、彼女の目の前にいる男達へとその葉や枝を伸ばす。
捕まったら終わり、既にその事を知っている彼等は死に物狂いで躱していくも、逃げ場の無い閉ざされた空間に誘われた結果、次々とその枝に捕まってしまう。
(この訳分からん植物も、皆嬢ちゃんが動かしているなら…!)
たった一人になってしまったが、それでもガーナをピストルで撃ち抜こうとする。
すぐさまガーナも手元に持っていた先程の植物の実を揺らし、男の顔に向けて実を発射させた。
男の顔に実は頬を掠め、ガーナの腕にはピストルの弾が過ぎった跡があり、双方軽傷だが血を流す結果となる。
「は、ちびっ子の割に肝が据わっているじゃねーの。」
依然ピストルをこちらに向けたまま賊の頭である男は話す。
「面白い発見をしたなぁ、植物を操るガキ、か…高く売れそうだ。」
目の前の男は、船の食料や金銭だけではなく、ガーナも宝認定した様子で黄ばんだ歯がにやけた口から見えた。

「…ありがとね。」

ぽつり、とガーナは零す。
何が、と返す前に賊は奇妙な点に気づく。

彼女の足下はあんなに草が生えていただろうか、と。

「せんちょうの部屋に鉢がおいてないのは、せんちょうじしんが強すぎるからなんだけれど…その分壁や床に眠っている子達はつよいんだよ。」

覚悟してね、と彼女は不敵に笑った。
17/24ページ
スキ