第1章(後編)


「で、何の成果も無しにのこのこ帰ってきたの?」

翌日の朝、開口一番に幼い少女であるガーナに言われて、二人はさすがにグサッと心に刺さった。
「い、一応いいところまでは行ったんだぞ。」
「まあ、結果宝も盗まれていたから惨敗だけどね~」
気まずそうに言うノイとあっけらかんと結果を述べるサナを見て、ガーナは溜息をついた。
「もー、一応戦闘もできる代表の二人なんだからしっかりしてよ!」
「ごめんねぇ。」
「・・・・・・。」
「まあ、それよりもだ。」
船長が二人を見て話し始めた。
「とりあえず、成果が得られなかったからこれで領主のところからはクビか?」
「・・・まぁ、そう言われたな。」
「奥さんには、また来てって言われたけどね。」
「それお前だけだろ・・・。」
「あら、嫉妬してる?」
「うるさい。」
「ふむ・・・。」
こめかみに手を伸ばして考え事をしながら船長は質問を続ける。
「怪盗は・・・えっと、今日宝を奪いに来るって?」
「ああ、明日って言ってたからな。」
「今までも、盗む時間帯は決まっていたみたいだから夜に来るんじゃないかしら?」
「なるほど、それで怪盗の特徴は?」
「あの時は月の明かりと松明の火しかなくて、性別の判別は出来なかった、だが体は小柄な体型で服装は黒い服だったな。」
「信じられないけど幻覚の能力みたいなのを見せられたわ、低い男のような声だったけど、変声術の持ち主だったかもね。」
それと・・・とサナは言葉を付き足した。
「目隠しみたいなのしてなかった?」
「目隠し?」
「ノイちゃん、憶えてる?」
「うーん、してたようなしてなかったような・・・。」
あやふやな記憶をさかのぼりながらノイは思い出した。
「そういえば、なんか、目玉みたいな模様が描いてあるものだったような・・・。」
「そうそう!」
「・・・・・・。」
こめかみから手を放し、船長は船員たちに告げた。

「お前らは俺以外の船員にその話をして、今晩の怪盗対策をしてくれ、俺はちょっと外を回ってくる。」
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