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第6章

すっかり辺りは暗くなり、空の星や月そして船の小さな灯りのみが光っている。
海賊船は乗せている子ども達のゆりかごの様に揺れていた。

そこに、少しずつ近付く影が一つ。

「―今日の獲物はアレだな。」
ある男が呟き、彼の後ろには下卑た男達の低い笑いがしている。
「ここは本当に上質な餌が来ますねぇ。」
「そりゃそうだろ、何てったってあの霧のお陰なんだからな。」
彼等はあの子どもにしてしまう霧について知っている様子で、無防備になった海賊船に目を付けて夜襲をするつもりらしい。
賊の頭である男が、その場にいる部下達へ命令を下す。
「あるもん全て取っちまえ、ガキしかいない船だからな。」

小舟に乗り換え、海賊船に近付き彼等は堂々と船へ侵入してきた。
「大砲もいっぱい持ってんなぁ~、これも後で盗むか。」
「重いだろ、止めとけ。」
冗談を言いながら、完全に舐めきった態度でずかずかと船内へと入って行く。
「食い散らかした跡があんな…さすが子ども。」
食堂へ辿り着いた一同が食料を漁る、武器も重要視される物ではあるが、やはり生きて行く上で食べ物の有無は死活問題であり、あるもの何でもかんでも手を付けようとする。

するり

とそこで何かが床を這い回る音が小さく起こった。
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