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第6章

一番ミツメが気にしている点であろうマツリの安全についての点を前面的にアピールするガーナ、その表情をじっと見つめる目玉はどこから出しているのか分からない溜息を出した。
「…はぁ、全くもって素っ頓狂な話だが、大人が全くいないこの船の事を思えば…そうか。」
だがな、とじろりとガーナを見る目は依然厳しいもののようで。
「コイツの身に何かあったら承知しないからな。」
「…うん。」
とりあえず今は、彼が自分に何かするつもりは無いようだと分かったガーナは別の伝えたかった事を彼に対して告げる。
「あとその…みんなが元にもどるまで、ミツメは…その。」
「引っ込んでろってことだろ。」
致し方ないとぶっきらぼうに目玉は返す。
「今日の事は…一つの夢とでも思ってやる、夜が明けてもこのままなら考えなきゃならんがな。」
「…うん、ごめん。」
謝るなら最初から言うなと小さく告げて、ミツメはマツリの額に融けるように消えた。

話が終わり、マツリは彼女の耳に入れていた防音効果のある葉を取り出す。
「…聞こえてた?」
ガーナの問いにマツリは首を振る。
「あのね、今日のあなたはただのおんなのこ…このふねで好きなようにしてていいんだよ。」
「え…?」
急にそう話しかけられマツリは目を瞬かせていたが、ガーナは変わらず彼女に微笑む。
「おなか、すいてるでしょ?」
それに呼応するように、彼女の口より先にきゅうと別の音が返事をする。
「…おわったのか?」
そこで後ろから声を掛けられ少女達は驚いて声のする方を見ると、気にしていたのかノイが瓶を抱えてこちらの部屋まで来ていた。
「なんかさがしたらみつかった。」
くうか?と差し出された瓶には、クッキーがいっぱい入っていて、マツリは目を輝かせる。
(…つくったの、大人になったノイだけど。)
やはり食欲旺盛なのは昔からなのだろうか、とガーナが考えていると調理場がある部屋辺りから何やら騒がしい声がした。
「とりあいになってたから、どうにかとってきた。」
「それよりもアレ止めてよ!!」
自慢げに鼻を鳴らす彼にガーナは歯をむき出しにして怒った後、火事場へと向かう。
「…もらっていい?」
「ん、うまいぞ。」
残された二人は、そのままお腹が膨れるまで一緒にクッキーを食べた。
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