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第6章

ほとぼりが収まってから掃除道具を持ってきて各自にやらせる。
「なんでボクがこんなこと…。」
「かあちゃんにもそうじやらされたな~。」
「あれ、とれねー。」
雑巾を手に持ち、各々汚してしまった壁や床を届く範囲で掃除して貰っていた。
恐らく先程のメイド発言もあってか、恐らくお手伝いをした事が無かったのかサナの手は辿々しい、一方やんちゃな船長やメソドは馴れているのか手早く進めている。
「…終わらせたらおやつよういするから。」
その一言に歓声が沸き更に行動が早くなるのを、叫びまくったその喉をさすり横目で見ながらある事に気付く。
「あれ、ノイとマツリは…?」
あの大騒ぎの中で完全に忘れてしまったのだが、大人しい子ども二人がいない。
馴れない船内では心細いだろうと、ガーナは再三口酸っぱく「今度はなにもしないでよ!」と彼等に告げ汚れてしまったベッドのシーツを抱え彼女は部屋を離れた。

「いた。」とガーナが呟いた先には、どこから持ってきたのか椅子を持ってきて船の窓から外を見ているノイがいて、ガーナが近くに来た事には気付かず、ただ彼はぼーっと海を見つめていて、ただただその景色に魅了されているように見える。
改めて彼の体を見ると服の上からでも分かる程やせ細り、いつもの筋骨隆々な体とはかけ離れているものとなっていて、本当にどんな成長を辿ったのかガーナは不思議に思った。
ノイだけではなく、他のメンバーにも疑問点があるのだが、本当にこの海賊達は自分も含め訳ありが多いなぁと感じる。
「…何してるの?」
そこでやっと気付いたのか、少し目を開いてからノイは答えた。
「おれもよごされそうだったらにげてきた。」
確かにあの空間では自分も標的にされると思うだろう、ガーナは頷くと「だからここで時間をつぶしているの?」と尋ねるとこくりと頭を上下に動かす。
「あと…うみをみていた。」
「うみ?」
彼女には見慣れてしまったものだが、この小さな少年には違って見えるようで。
「きらきらしていて…いいなって。」
「そう…。」
そんな彼だが大人になると海を見ても魚群が見えないかどうか目を懲らして見るようになるので、ガーナは思わず遠い目をしてしまう。
「…ところで、マツリ知ってる?ほらおんなのこの…。」
彼女の問いに「あそこにいる。」とその小さな口が教えてくれた。
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