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第6章

とりあえず、呆然と立っているだけでは時間が経過するだけなので、ガーナはぞろぞろと恐らく海賊達であったであろう子ども達を引き連れて、船の中を歩いていた。
「な~どこにいくんだ?」
相変わらず質問ばっかりする船長の面影が残る彼に辟易としながら彼女は答える。
「…さすがにその服じゃふべんでしょ。」
そう、今彼等が着ている服は大人サイズの物であり、総じてぶかぶかになっていた。
マツリはどうにか丈が合わないワンピースの様になっているが、その他の男子達は散々で着ていろと言われてもサイズが大きすぎるその服を「面倒くさい。」と断り裸でいる子どももいる。
「ここだったら、色んな物があるから。」
そう言って連れてきたのは、サナが作った服達が眠っている部屋だった。

「これすっげーでっけぇマント!」
いまだに何も着ていない癖に大道芸用の衣装であるマントを見つけたメソドらしき少年は、そのまま部屋を走り回る。
「こらっ服をきなさい!…子どもようのはたしか…。」
主に大道芸の衣装置き場となっているこの部屋だが、サナが余った生地を使い、売り物用として作った服も何点か置いてあった。
とりあえずある物全て床に置いて、どれがいいか彼等に選んで貰う。
「なにこれ、やすものばっかり。」
それはお前が作ったんだよ、とガーナは言葉には出さないものの、表情を引きつらせて告げる。
「ごめんねぇ~これくらいしか無いから、てきとうに選んでね?」
「うちのメイドならもっとマシなのえらぶのに…。」
船の上なんだから贅沢言うな、とこめかみ辺りに血管が浮き出たような気がした。
「あのね…。」
「なにいってんだ。」
そこで意外な所から声が掛かる。
「こんなにいっぱいよういしてもらって…どれでもいいのか?」
「え、あ…うん、どうぞ。」
ありがとうとしっかりお礼の言葉を口にする少年を、ガーナが見間違える事は無い。
(…なんであんなぶっきらぼうな大人になっちゃったんだろう。)
真っ直ぐ育てば今よりマシな人物になり得ただろうに、とガーナは子どものノイを憐れみの目で見つめてしまった。
そこで、つんつんとスカートの裾を控えめに引っ張られ、彼女は後ろを向く。
「…どうしたの?」
背を屈めて視線を合わせるも、顔が下を向いたままの少女が現れる。
マツリの事は年の差があれど、妹扱いをしているガーナは本当に自分より下の年齢となってしまった彼女を見て微笑んでしまうも、マツリが無言で指差した方向を見て表情が変わった。

ビリィ ビリビリィ!!

「お、おもったよりやぶきやすいな!」
「おもしれ~~~!」
八つ裂きにされた衣装、勝手に取り出され散りばめられた裁縫道具。
やんちゃなガキ二人が、この惨状を作り出している。

「止めなさいーーーーー!!!!!!」

ガーナの絶叫は、この辺りの海域に全て響き渡ると思ってしまう程大きなものとなった。
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