第6章
事の発端は。
「…何だか良くない気候。」
海賊船の前に濃い霧が現れた事から始まる。
いち早くマツリがそれを見つけ、船長達に報告をし進路が迷うといけないと考え、ガーナのみ船内に残し、それ以外のメンバーが甲板へ出払ってしまった。
「遅いなぁ。」
霧が晴れて時間が経過した後、戻ってくるはずの海賊達が戻ってこない。
見張りのマツリならまだしも、寝る為に早々に戻ってきそうな船長が船内へ帰ってこないので、ガーナは甲板へと顔を出した。
「おまえ、だれだ?」
見知らないはずの、どこか見覚えのある少年が目の前に現れた。
「…………………せ、じゃなくて………リヒト?」
「なんでおれのなまえしってんだ??」
な~なんでなんで?と思った事を口にするこの子どもは、信じられないが間違いない。
そして。
「かあさま…とおさま…。」
「でっけーうみ!!」
やたら綺麗な少年と元気な少年。
「…どこ?」
「……………。」
やせ細った少年と身を縮めている少女。
「…ウソ、でしょ。」
一気に船の中で、最年少だった少女が最年長へと立ち位置が変わった瞬間だった。