このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

第5章


医務室に辿り着いたサナはメソド達が話していた事と同じ事をベッドで寝ていたマツリから聞いていた。
「―なので、船長はその…サナさんがこの船に乗り続けたいかどうか、知りたかったみたいです。」
「…まぁ、あの捻くれねじ曲がり男が考えそうな事だわね。」
サナは一応長い付き合いなので、彼の考えに納得がいったようだった。
「あたしは…正直納得いかなかったですが。」
「ありがとう。」
不満げに頬を膨らますマツリにサナは感謝を伝える。
今こうして横になっているものの、体調は回復していて明日にでも問題無く動けるとメソドから診断を彼女は受けていた。
「そういえば…あれから大丈夫ですか?お父さんが捕まったとはいってもあのポスターは破棄された訳じゃ無いんですよね…女装して回っても警察まで連絡が行っていないから問題無いとは思いますが。」
実はここに入島する際、正体がバレないようサナは既に女装をしていて、更にマツリとサナが目立つ程に歩き回っても、サナだと言う事を誰も見抜けないまま今に至るのだ。
「もしバレて連絡を取られたとしても…暫くは牢獄の中に居るみたいだし、大丈夫だと思うわ。」
ここの島の法は厳しい、一度捕まると罪の重い軽いに左右せず数年間は懲役となる。
(尤もそれを制定し守ってきたのはご先祖であり、彼自身でもあるのだけれど…自分が守ってきたものに縛られる、なんてね。)
何とも形容しがたい感情だ、とサナは思う。
「大丈夫といえば…昨日わたしの為に夜の間船誰も居なかったみたいだけど、盗難とかは大丈夫?」
「はい!お金払いましたが、現地にいる日雇いの舟守の方に警備入って貰ったので…。」
「あらそれは…後で金額を見ないと駄目ね。」
お金にうるさいサナの黒い笑みが見え、マツリは慌てて別の話題を無理矢理入れ込む。
「そっ、そういえば今日の夕方からあたし料理するんですよ!いやぁ…故郷の料理、皆さんに披露するの緊張しちゃうなぁ!!」
そこでサナはその話題の違和感に気付く。
「あれ、ノイちゃんは?」
あの子は元気のはずじゃないの?と隣のベッドを覗くも誰もいないのでサナは疑問を口にした。
その疑問に、マツリはゆっくりと回答を口にする。
32/34ページ
スキ