第5章
失礼します、とサナと入れ替わりでメソドが部屋の扉を叩いた。
「おう、入っていいぞ。」
許可の声を出てメソドは扉を開く。
「今回の事件の顛末…大まかにですが、まとめさせて頂きました。」
差し出された資料はアスタニア家で起こった事件の詳細が書かれた物だった。
「さっすがメソドきゅん、裏の方までしっかり調査してくれたのねん。」
「…口調がおかしくなっていますよ。」
サナの協力もあり、まとまった文書は船長の後ろにある本棚へと収納された。
(ふざけている割に、こうして事件について逐一レポートを書かせる辺り抜け目が無いというか、何というか…。)
思わずじとりとした目線を送ってしまい、それを受けた彼がにやりと笑う。
「なぁ~に~?また仕事増やしやがってって、思ってるの??」
「それもあります。」
隠す事も無いので正直に告げると、またオーバーなリアクションで「はちゃはちゃ~。」と絶妙にイラッとくる表情を見せられる。
「知らないままでいる方が幸せだと思うけどさ、知ってた方が良い事もあるでしょ。」
「…そういえば、話題は変えるのですが。」
いや、変えるんか~いとツッコミを受けるがスルーしてメソドが彼に指摘する。
「何故、早く彼を助けなかったのですか?」
ぴくり、と船長がその体の動きを止める。
「確かに穏便に事を解決させるのに、今回の作戦はとても有効だった様に思います、ですが…彼をあんなに負傷させずに、早く助ける事が出来たでしょう?」
あの夜。
海賊全員は、深夜に至るよりも早くあの屋敷に辿り着いていた。
メソドから先に地下室の存在を知り、門番を撃破してマツリにメソドが門番に見えるよう幻覚を仕掛け、船長とノイは先に屋敷内へ潜入していたのだが。
「…確かに、近くでじっと見つめてはいたな。」
具体的に言えば、サナが地下室から逃げ出し、警備員達から逃げ惑っていた時。
彼等は既にサナを見つけていた。
「まぁ単純な話だよ。」
あっけらかんに彼は告げる。
「アイツを試してた…この船に乗り続けて行くのに大丈夫かどうか。」
静かにメソドは船長の言葉を待っていたので、彼はそれに応える。
「元々、アイツの願い自体理想郷なんて無くても妥協さえすれば叶うもんなんだよ。」
初めて会った頃の、影を纏ったような彼を思い浮かべながら船長の口はそのまま動く。
「実家にも資金はあったし、あの老い先短い父親の世話が終わったらそれこそ好き勝手やれる…昔はともかく、今のサナなら十分それぐらいの力はあるんだ。」
褒めすぎかもしれんがな、と舌を出すもその顔は少し硬くなる。
「だから…正直な話、一人で抜け出して貰いたかったんだよ。」
「…オレ達が手を出す前に?」
ああ、と彼は頷く。
「―アイツがもし嘘だとしても貴族を選ぶ、なんて言ったら見限るつもりだった。」
しかし、結果は違った。
「ですが結局手を出したのはー」
「あ~それは、うん隣の野犬がうるさかったもんでね!」
使用人にも噛みついちまったし大変だったよ~と船長が頬を膨らませながら言うので「なるほど。」とやっとメソドは腑に落ちた様子を見せた。
「おう、入っていいぞ。」
許可の声を出てメソドは扉を開く。
「今回の事件の顛末…大まかにですが、まとめさせて頂きました。」
差し出された資料はアスタニア家で起こった事件の詳細が書かれた物だった。
「さっすがメソドきゅん、裏の方までしっかり調査してくれたのねん。」
「…口調がおかしくなっていますよ。」
サナの協力もあり、まとまった文書は船長の後ろにある本棚へと収納された。
(ふざけている割に、こうして事件について逐一レポートを書かせる辺り抜け目が無いというか、何というか…。)
思わずじとりとした目線を送ってしまい、それを受けた彼がにやりと笑う。
「なぁ~に~?また仕事増やしやがってって、思ってるの??」
「それもあります。」
隠す事も無いので正直に告げると、またオーバーなリアクションで「はちゃはちゃ~。」と絶妙にイラッとくる表情を見せられる。
「知らないままでいる方が幸せだと思うけどさ、知ってた方が良い事もあるでしょ。」
「…そういえば、話題は変えるのですが。」
いや、変えるんか~いとツッコミを受けるがスルーしてメソドが彼に指摘する。
「何故、早く彼を助けなかったのですか?」
ぴくり、と船長がその体の動きを止める。
「確かに穏便に事を解決させるのに、今回の作戦はとても有効だった様に思います、ですが…彼をあんなに負傷させずに、早く助ける事が出来たでしょう?」
あの夜。
海賊全員は、深夜に至るよりも早くあの屋敷に辿り着いていた。
メソドから先に地下室の存在を知り、門番を撃破してマツリにメソドが門番に見えるよう幻覚を仕掛け、船長とノイは先に屋敷内へ潜入していたのだが。
「…確かに、近くでじっと見つめてはいたな。」
具体的に言えば、サナが地下室から逃げ出し、警備員達から逃げ惑っていた時。
彼等は既にサナを見つけていた。
「まぁ単純な話だよ。」
あっけらかんに彼は告げる。
「アイツを試してた…この船に乗り続けて行くのに大丈夫かどうか。」
静かにメソドは船長の言葉を待っていたので、彼はそれに応える。
「元々、アイツの願い自体理想郷なんて無くても妥協さえすれば叶うもんなんだよ。」
初めて会った頃の、影を纏ったような彼を思い浮かべながら船長の口はそのまま動く。
「実家にも資金はあったし、あの老い先短い父親の世話が終わったらそれこそ好き勝手やれる…昔はともかく、今のサナなら十分それぐらいの力はあるんだ。」
褒めすぎかもしれんがな、と舌を出すもその顔は少し硬くなる。
「だから…正直な話、一人で抜け出して貰いたかったんだよ。」
「…オレ達が手を出す前に?」
ああ、と彼は頷く。
「―アイツがもし嘘だとしても貴族を選ぶ、なんて言ったら見限るつもりだった。」
しかし、結果は違った。
「ですが結局手を出したのはー」
「あ~それは、うん隣の野犬がうるさかったもんでね!」
使用人にも噛みついちまったし大変だったよ~と船長が頬を膨らませながら言うので「なるほど。」とやっとメソドは腑に落ちた様子を見せた。
