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第5章


その場にいないはずの声が耳に入り、サナ以外の人物に緊張が走る。
武器を取る間も無く、眼前に突然現れた人物に取り囲んでいた警備員達がなぎ払われた。
その見間違える事の無い大きな背中に向けて、サナはその名を呼ぶ。
「ノイ…。」
瞬間ふわりと誰かに担がれ、その顔を見るとこちらも見覚えのある人物だった。
「勿論、オレもいるよ~。」
先程の声は船長だったのでいないとは思わなかったのだが、あまりにも突然の登場にサナは頭の理解が追いつかない。
「種明かしはまた後でな…それより。」
倒れている警備員達が起き上がり、サナをもう一度捕獲しようと詰め寄ってくるが。

ドゴッ! バキッ!! ズサッ…

固く握られたその拳で、老いているのも関係無いとばかりに襲いかかろうとした者全てねじ伏せる。
「フーッ、フー…!」
辺りの視界が限られた中だったが、獣の様な息遣いから臨戦態勢になっていることが伺う事が出来た。
「あ~ストップストップ。」
このままでは他の使用人達やサナの父親に殴りかかりそうな気迫を持つ彼の前に船長が立つ。
「これ以上は待てだな…後はオレに任せろよ。」
「……………。」
物言いたげな雰囲気だったが、ノイは怒気を引っ込めたようで、船長からサナを受け取り後ろへ下がる。
「貴様ら…そいつの今の仲間か。」
「そうですよ~お父さん。」
飄々とした雰囲気は変わらないものの、その視線が厳しい色へと変わった。

「さて…保護者面談といきましょうかね。」
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