第4章
メソドを先頭に未知の地下通路の奥へと進む海賊達。
力ツーン、力ツーンと長い棒で行く道を突きながら歩くメソドをマツリは不思議そうな表情で見つめていた。
「マツリちゃん、メソドちゃんは罠を見つけるプロなのよ。」
後ろから彼女を見ていたサナは微笑んで話しかける。
「ああやって音を鳴らして、普通の通路と罠が置いてある通路の違いを確かめるの…仕掛けがある所は、音が変わっているから。」
「それでも、聞き分けが出来る範囲だけだよ…。」
後ろから真っ直ぐな尊敬の眼差しが刺さり、何とも言えない気持ちで彼は呟くように答えた。
「コツさえ掴めば誰でも出来る…といっても、君は視覚で確認出来るだろうから、そこまで努力は積まなくていいと思うけれど。」
そ、そんなこと無いですよ!とマツリはその言葉に首を振る。
「視覚に頼りすぎるのは良くないと…船長と対決した時に身に染みたので、体術もですが、他の学ぶべき事も前向きに取り組んでいきたいです!」
「あら、じゃあ手始めに提出期限が延びている宿題からやってもらいたいわね。」
思わぬ方向から口撃を受けて「あぅ…。」と一気にマツリのテンションが下がる様子を見ながらも「苦手分野も挑戦しなきゃダメよ~。」と厳しめの言葉が飛ぶ。
無言でそのやり取りを聞きながら、メソドがふとその足の動きを止めた。
「…仕事だ、切り替えてくれ。」
メソドが指し示す目の前の道には、一見すると他の通路と変わらないものの、マツリの視線が厳しいものとなる。
「これは…面倒ですね、行く先は倉庫らしきものがあるみたいですが、もしかしたら罠かも。」
「え、そうなの?」
驚くサナとは対照的に、静かに頷くメソドもマツリと同じ意見の様子だ。
彼等の目には見えてはいないが、マツリの目にはそこに仕掛けられている光景が広がり、細かく見ているのか、その表情が険しくなる。
「宝があるからこそ、警備も厳しくなっているのかもしれませんが…。」
全ては倉を確認しなければ分からない、言われなくても察した二人はまずマツリに聞く。
「マツリちゃん、ここを攻略する術は見つけ出せそう?」
「言ってくれ、善処する。」
頼もしいその言葉たちに、マツリは力強く頷いた。