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第4章


入り口が小さい事から、中に入るメンバーはサナ、メソド、そしてマツリの三名が潜入する事となった。
残りのノイと船長は、何かあった時の為に入り口付近で待機する。
「これ、持っていってくれ。」
船長に渡されたのは片手に収まる程の草花で、何故このタイミングで花を渡されるのか分からずマツリは首を傾げた。
「この花はリンリン草っていってな、基本的に暖かい島に生えている花なんだが、それをガーナが育てて少し質を変えたものだ。」
「質を変えた?」
前にガーナの力を見せて貰った時には、彼女の血を植物に飲ませる事で思うままに動かせる能力だったと記憶していたマツリだが、そこで別の記憶も思い出す。
「あ、そうか…ガーナちゃんの血を薄めて、その植物を育てれば…。」
正解と船長が答え、マツリに渡した分とは別の花を取り出し、それを口に当てる。
『こうした特殊な花を育てる事だ出来るってことさ。』
「わっ!?…花からも船長の声が?」
驚いたでしょ~とサナが船長とマツリの間に割って入り、マツリの持っている花を優しく触った。
「このリンリン草は、一日限定だけれど簡易的な電話の役割を担ってくれるの、わたしたちの大事な連絡手段よ。」
この時代、電話は限られた者しか持つ事が出来ず、貴重で高級なもの。
それを簡易的な物とはいえ、こうして連絡する手段を持てるというのは、かなり強みになる物だった。
「一応わたしやメソドちゃんも持っているけど…花弁を散らしたら効果は無くなるし、軽いから無くさないようにね?」
「は、はい!」
「…基本的に離れて行動はしないから、あまり気負わなくていい。」
こうして必要な準備をして、三人は穴の中へ入っていく。

「なぁ、船長。」
彼等を見送った後にノイが話しかけ、それに、「ん?」と短く返事をする。
「アイツは、この中を全部見たって言ったのか?」
「あ~…全部とは言ってないな。」
でも、こうは話してくれたよ、と彼はその口角を緩く上げた。

「少し厄介な仕掛けが中に張り巡らされているって。」
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