第4章


「小せえ…本当にここから入れるのか?」
そもそもこれが入り口か?とノイは訝しむがマツリが「すみません…。」と答える。
「この辺りだとここしか無くて…ここさえ通れば、中は広いのですが。」
「限られた奴しか入れないように敢えてそうしているかもしれないな。」
開けられそうか?と扉を開こうと器具を取り出しているピッキングが得意であるサナにメソドが聞く。
「見た所、大分時間が経過しているわね…けれど、しっかり鍵は掛かったまま。」
鍵穴を探し出し、苔や草を取り除きながら丁寧に作業してゆく彼を一同がずっと見守っている。
詳しくは知らないマツリでも知っているトンカチやペンチやよく分からない細い針金やら棒状の金属やらが取り出され、小さな鍵穴にそれらを差し込む。
カチャカチャと調整している間に、少女はつい興味があったこともありその光景を見てしまう。
「…君は盗みやっていたこともあったし、出来るんじゃないの?」
横にいたメソドに話しかけられ、マツリは首を横に振る動きでその返答をする。
「いえ…あの時は領主とその妻以外の皆さんが協力者だったので、時間になったら鍵を開けてくれたんですよ。」
最初の内は窓割って入っていましたが、とその言葉になるほどと彼は頷いた。
「本当に嫌われていたんだな、アイツら。」
もう顔も覚えてねぇけど、とノイは零し、マツリは苦笑する。
「覚えている方が無駄なのでいいと思いますよ、正直。」
「マツリちゃん結構言うねぇ。」
話が繰り広げられている中で、カチャリとそれまでとは違った音が響く。

「はぁい、お待たせ…開いたわよ♡」

そして、その扉がゆっくりと開かれた。
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