このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

第4章


「はい、スト~ップ!」

いきなり目の前でばちんと両の手を打たれ、集中していたマツリは思わず「ひゃあう!?」と大袈裟に驚いてしまう。
「マツリちゃん、休憩しようか。」
いつも通り変わらないにやりとした表情が目に入り、少し落ち着くもマツリは首を振る。
「いえ…まだ大丈夫で」
「う~ん、それはどうかな?」
断ろうとしたものの、ばっさりと切られと少女は首を傾げた。
「マツリちゃんの目は確かに大した能力だと思うよ、だけれど…見たところ、君の体はただの人間だ、それなりの代償が多かれ少なかれあるんじゃないかな?」
「え…?」
その言葉の意味を理解しようと頭を動かし始める、しかし。

汗が滝のように流れてきた。

「…!?」
自分に何が起きているのか、驚いていると「やっぱりね。」と船長の声がする。
「君とずっと一緒に居たけれど、捜索を始めてからかなり時間が経っていることは自覚ある?」
「え…?」
掠れた声が出て、自分の口や喉が乾いている事をそこでやっとマツリは知る事が出来た。
「一応時計持っているけれど…間違えていなければ少なくとも2時間は過ぎている。」
船長から知らされた事実に、マツリは目を見開くも上手く声が出ず、代わりにミツメが答えた。
「一度集中すると時間の経過が分からなくなるんだよな、これ以上はオレもキツいかも~。」
茶化して言っているようだが、実際ミツメの目の瞬きは多くなっていて、酷使していた事が窺える。
「…焦ってしまう気持ちは分かるけれど、それで身を粉にしたら元も子もないからね。」
それとも、と彼はその目を細める。
「その見えた景色の中で…気になる所が、あった?」
その投げられた言葉に、目の前の少女はほんの少しだけ。

その肩を揺らしたのだった。
6/16ページ
スキ