第四章
少しずつ林檎の部屋に近づいていく度に、とある感覚があたしを襲った。
(…何だろう、この……感じは。)
一歩一歩進むたびに、空気が重くなってゆく。
頭痛とまではいかないけれど、頭にもやが入ったみたいですっきりしない。
「気付いた?」
先頭に立って歩いていた聡士さんがこっちを振り向いた。
「え…?」
「君の感覚は変化したばかりだから、答えが分からないと思うけれど。」
聡士さんはウエストポーチから、前に芽衣が使っていた札を取り出しあたしに数枚くれた。
「これを持っていれば、多少は軽くなるはずだ。」
「…お金とか、ありませんよ?」
見るからに高価そうなものだったので、真面目な顔で言い返したのだけれど、ずっと表情にあまり変化の無かった向こうは、この言葉に笑い出した。
「ふっ、ふふ…そうだな、じゃあお礼はこの前の答えを」
「うるさい、早く仕事を済ませろ!」
芽衣に小突かれて、聡士さんは笑いを止めた。
「まぁ、林檎ちゃんの容態を見ればきっと分かるよ。」
意味深にそう呟くと、林檎の部屋のドアノブをあたしに引かせたいのかどうぞと促された。
「……。」
何か言いたげな芽衣の視線が突き刺さるけれど、この部屋の向こうにいる林檎がどうなっているのか。
得体も知れないものの気配を感じながら、あたしはそのドアをゆっくりと開いた。
