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第四章


「…あ、お手数お掛けします。」
家から出てきたのは、林檎のお母さんの夕日 楓(ゆうひ かえで)さんだった。
林檎と同じ、明るめな茶髪に常に穏やかな表情、少しふっくらした体型。
まさに典型的なお母さん像が当てはなる優しい人だった。
「こんにちは、夕日さん。」
「「…こんにちは。」」
「あら…芽衣ちゃんに、三絵ちゃん?」
芽衣はともかくまさか一緒に来るとは思わなかったのか、楓さんはまじまじとあたしを見た。
「その…宿題やプリントが溜まったので、お渡しに来ました。」
「まぁ、いつもありがとうね。」
申し訳ないといった表情で、書類を貰った楓さんは、言いにくそうにあたしや芽衣に言葉を掛けた。
「折角こっちまで来てもらって悪いけれど…林檎あまり体調良くなくて、流行り病に罹ったみたいなの、だから…。」
「夕日さん。」
楓さんの言葉を聡士さんが止めた。
「今回は、この子たちも必要なんです。」
「え…?」
思いもよらなかったようで、表情を一層不安なものに楓さんは変えた。
「私がいるから、問題ありません…娘さんのところまで案内してくれますか?」
楓さんは、その言葉に戸惑いながらも「…はい、分かりました。」と了承してくれた。

あたしたちが必要って…どういうことなんだろう。
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