第四章
『さようで…。』
家に帰った後、さっきの芽衣との会話を雲流丸にも話しておいた。
雲流丸もあの一件の後、口にはしなかったけれど時折不安を宿した目を向けられることがあったので、少しでも安心して欲しかった。
(自分のことだけ心配してればいいのに…。)
「まぁ、お兄さんとはまた機会がある時に断っておくから、そんな考えなくていいよ。」
『…しかし、三絵殿。』
「ん?」
『その…かの御仁は、友人の兄とはいえ……その……。』
「…別に芽衣に告げ口とかしないから、悪口言ってもいいけど。」
『いっ、いや…その様な……内容では………決して…………その。』
「…前から思っていたけど、もしかしなくても雲流丸って女々しいよね。」
『なぁ!?』
妙な声で反応する雲流丸に、ついあたしは息を吹き出した。
「ふっ、くくっ…そんな反応できるの?」
『みっ…三絵殿は少々物言いが…酷い時がござる。』
「ごめんごめん…で、なんて言いたかったの?」
話を元に戻すと、雲流丸は顔を俯かせたけれど、さっきより大きめの声であたしに伝えてきた。
『あの御仁は…気を付けた方が良い、そんな目をしていた。』