第三章
初対面の人に早々恥ずかしい勘違いをしたあたしは頭の中が真っ白になった。
『み、三絵殿…。』
雲流丸が弱々しい声で話しかけてきた。
「そちらの幽霊さんも、初めましてね。」
さらりと雲流丸のことを言われて、雲流丸もあたしも芽衣のお母さん…茜さんの顔を見た。
『…へ?』
「視えるんですか?」
あたしたちの様子を見て、茜さんは右手を唇に添えてクスクスと笑った。
「当たり前よ、その為に私が出てきたんだから…。」
そう言う茜さんに芽衣はじっとりとした視線を送っていた。
「幽霊さんのお名前は?」
『あっ、申し遅れた…雲流丸と申す。』
「そう…じゃあ、三絵ちゃんと雲流丸さんの出会いから聞かせてもらってもいいかしら?」
「なるほどね…。」
一通り今に至るまで話を終えて、茜さんは口を開いた。
「芽衣に聞いていた通りの子なのね。」
「今言わなくてもいいでしょ!」
「…芽衣、何を話したのさ。」
「うるさい!!」
例によって例のごとく、大助さんがまあまあとなだめた。
「三絵ちゃん。」
「はい?」
「確認だけど、貴方はそこの雲流丸さんを成仏させたいと考えているのね?」
「はい。」
淀みなく答えるあたしに皆の視線が一気に集まる。
「…正直、具体的な方法とかは知らないし、幽霊が視えるようになって、自分のことでてんてこまいになりそうだけど、やりたいんです。」
断言する。
自分で勝手に諦めていたことが多かったあたしが久しぶりに本気でやり遂げたいと思えたことを見つけられたから。
「…雲流丸さんは?」
『え?』
「成仏したいって考えている?」
『…それがしは。』
少し言葉を濁したけれど、雲流丸は前を向いて茜さんに伝えた。
『それがしは…三絵殿に送られて成仏をしたい。』
そこであたしの名前を出されると思っていなかったので、少し面を食らった。
「あらあら、相思相愛かしら?」
「『!?』」
予想外の言葉にあたしたちは驚いた。
「…お母さん。」
「ふふ、ごめんなさい。」
若い人をからかっちゃだめよねと顔をニコニコさせながら、あたしたちに話しかけた。
「じゃあ、私たち風羽…いえ、封場(ふうば)の力もお貸しするわ。」
