第二章


「『・・・・・・。」』

あたしの姿を見て二人は数秒固まってから、ダイスケが声を掛けてきた。
「えっと、かっこいい言葉を言った直後で申し訳ないが・・・本当にそれで大丈夫?」
・・・まあ、その言葉を言うのも無理はないと思う、自分でも格好悪いと思うし。
でも、手短においてある長物はこれしかなかった。だけど、多少の金属特有の重みと伸縮自在の長さがあり、何よりも使い慣れていたものだった。
「RPGの主人公だって最初の武器は木の棒でやってのけること多いから全然問題ない!!」
泣き言はさすがに吐けなかったけど、支離滅裂なことが代わりに口から出た。
「ゲームと現実は違うからな?」
呆れて正論を言われた。
「うう・・・。」
「まあ、いいや・・・そこをどいて。」
本題を持ち出され、あたしはなんちゃっての形だけど、構えた。
「どかない。」
「うーん、これは強行突破しかないな・・・。」
目を細めて一気にこっちに駆けようとするダイスケにあたしは躊躇なく棒をふところ目がけて突き、それは浅くだけど、当たった。
「・・・ッ、ちょっと手加減してくれても。」
「さっき横に転ばされたし、芽衣にはお互いケンカをしてきた仲だから、このぐらい普通!」
「アイツのことは換算しないで欲しいけど・・・!」
今度は向こうが速くトンカチで足を狙ってきた。だけど、何度もこの速さを目に見てきたからあたしはタイミングが掴めるようになり、ジャンプして紙一重でかわした。
相手が低い体勢になっているうちに、雲流丸の首が握られている右手首に思いっきり棒を叩きつける。
「いっつ・・・!?」
その一瞬、右手の力が弱まり雲流丸はダイスケの手から脱することができた。
『三絵殿・・・!!』
「雲流丸、こっちに・・・!!」
あたしと雲流丸が互いに手を伸ばし、指の先だけ触れようとすると叫び声が聞こえた。

「やめろ、今その体でそれをすると・・・!!」

その言葉を最後にあたしは自分の体が途端に重くなり、やがて深海に沈むように意識が消えた。
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