第二章


雲流丸の叫びを聞いて、あたしは慌てて二階へ向かった。
(何があったんだろう・・・?)
あの幽霊はあたしとの対話に戸惑うことがあっても、物事に動じることはあまりなかった。
・・・まぁ、幽霊だから物に触れられないから当たり前なんだけども。
そうこうしているうちに二階のあたしの部屋にたどり着いた、そこで見たのは。

「・・・・・・。」
『みっ三絵殿!!』

壁際に芽衣に追い詰められている雲流丸の姿だった。

「・・・え?」
呆然とその様子を見るあたしに芽衣はいつもと感じが違う視線でこっちを見てきた。
「あんた、視えてたの?」
「えっと・・・。」
芽衣の質問の意図は分かる、でも、あまりに唐突過ぎて口が動かなかった。
「・・・まぁ、今はそんなこと言ってる暇ないか。」
とまた雲流丸の方に向き直る。
「あんた、いつぐらいから三絵にくっついていたの?」
『あの、と、とりあえず、離れ・・・』
「あ?」
『す、すまない。』
あたしはようやく頭が回ってきてやっと芽衣に話しかけた。
「芽衣、とりあえず雲流丸から離れてあげて・・・。」
「・・・・・・。」
無言だったけど、芽衣は渋々離れてくれた。離れてくれたので、雲流丸は強張っていた体を緩めてすぐにあたしの方に来た。
『・・・三絵殿、この方は?』
「あたしの友達だよ。」
『さようで・・・。』
そう言いながら雲流丸は芽衣に向けて戸惑いの視線を向けていた。

「とりあえず、何でこうなっているのか、根掘り葉掘り聞かせてもらうわよ。」

聞かせてもらいたいのはこっちの方だった。
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