第二章


何でこんなことになっているか。
それはこっちが聞きたいことだった。

雲流丸の成仏に協力するといったのは数日前、無事に学校にも通い始めてまた元の生活に慣れてきたと思っていた。
だけど最近なんだか体が重く感じることがあった、ただの疲れだろうと放っておいただけだったんだけど・・・。

「三絵、ちょっといい?」

あたしと芽衣と林檎の3人で下校して、分かれ道に着いて2人と別れようとしたあたしに芽衣が話しかけてきた。
「ん、何?」
「今日、家に行っていい?」
「え、芽衣ちゃんどうしたの?」
急な願い出に林檎もあたしも驚いた。
「いや・・・。」
芽衣は言いにくそうに目をそらしながら
「実はあんたの家に忘れ物しちゃったみたいでさ。」
こう言った。
「あーなるほど・・・。」
普段はあまりこういったミスをしない子だから珍しいと思いつつ、いつもの茶々をいれた。
「ツンデレの上にドジっ子とかスペック高いですねぇ。」
「うるさい!」
「まあまあ。」
そこで林檎と別れ、あたしは芽衣を家に連れて行くことにした。

そこまではいつもの日常だった。

家に着いてパーティーをしていたリビングで芽衣は探し始めた。忘れ物をするならここしかありえないと思ったから。
「ところで何を忘れたの?」
「・・・。」
「ちょっと、それも忘れたとか言わないでよ~。」
冗談半分でそんなことを言ったが、どうもキョロキョロして落ち着いてなくて様子がおかしい。
「・・・芽衣?」
「ごめん、ちょっとトイレ借りていい?」
「・・・うん。」
芽衣は早足でリビングから出て行く。
(様子が変だったけど、そんなに我慢していたのかな?)
元から真面目な子だから人の家で失礼なこととかしないので、トイレの申し出はあまりしたくなかったのかもしれない。

でも、そんなあたしの考えは外れる。
しかも、思いがけない形で。

『三絵殿ぉぉぉぉぉ!』

上から情けないあの幽霊侍の声が聞こえた。
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