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始まり


気が付けばあたしは空を飛んでいた。

…いや、馬鹿かこいつって思うのは分かる。人間が空を飛べるのは器材や乗り物の力を借りなければ到底無理だし、異次元的な力でも働いていないとそんなこと起きっこないって。
でも、今の状況を説明するのにはこの言葉が一番合っているという事を分かってほしい。

そうこうしているうちに、あたしの体は自分の家のお墓の方まで飛んでいった。よく分からない状況なのに自然と体が動いて、落ち着いている。そしてお墓の前までたどり着いた。すると先客がいた。知らない顔だったけど、どこかで見たような懐かしさが感じられる人だった。
「おう、来ちまったのか。」
あたしを知っているのか話しかけてきた。なんて答えようか考えていると
「だが、ここから先は行っちゃ駄目だ。」
「…え?」
「お前にはまだ早い、さっさと来た道を辿って帰るんだな。」
「でも」
「帰れ。」
間髪入れずにその人は突き放すように言った。
仕方がないので、後ろを向くと――――

あれ、なんだっけ?―――――
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