ゲゲゲハウスに帰ってからも少女は虚ろな眼差しで窓の外を見ていた
幾度か鬼太郎が彼女に声をかけるがほぼ全て無視された…というか耳を通らないといったところか

「何か強いショックがある可能性が高いのお」

「それにあの事件に関しても気になりますね。話してくれれば早いのですが…」

「仕方なかろう、見知らぬ人に心をすぐに開くのは逆に危険だと考えるのが普通じゃろう。そもそもわしらは化け物じゃからのお。時間はかかるだろう」

「…」


するときゅるるると場に合わない音が鳴った。音の主を見てみると少女が少し恥ずかしそうにしている

「お腹が空いてるの？そんなに照れなくてもいいのに
ちょっと待ってて。なにか食べられる物ってあったかな…」

物色していると、昨日買った豚まんがあった。

「そうだ、昨日の買い出しで寒かったから…
あーでも一日経ってるから少し硬いか…
父さん、少し家を出ます」

「どこへ行くんじゃ？」

「近くのコンビニまで。すぐ帰ってきますよ」

鬼太郎が湯気の立つビニール袋をぶら下げて帰ってきたのはその10分後のことである

「食べていいよ」

少女は申し訳なさそうな目をして



























皮の先だけつまんで食べた

「…ふふ…そう来たか…」

なんだかある種の動物でも見ているような気がして、謙虚さに苛立ちどころか滑稽になってっきた

「わかった、じゃあこうしよう」

半分に割って片方を彼女に渡す。彼女はしばらくそれをじっと見つめた後、ゆっくり口に入れ始めた












食べ終わると少女はすぐに寝てしまった。しばらくは人の家で寝てはいけないと思ったのか、睡魔と戦っていた様子だったが最終的には負けていた
自分がいつも使っている草布団をかけてあげる

「…なんだか妹ができたみたいですね」

「欲しかったのか？」

「いや、そういうことではありませんけど…
兄弟が傍にいるってこんな感じなのかなって…」

「下の子ができたら手取り足取りしそうじゃな。
お前さんはお節介でお人好しじゃからのぉ」

「そ、そんなことありませんよ」
少し痛いところを突かれて反論した。間違ってはいないが
時々自分の父親に言われるのだ。
その優しさが命取りになることもあると。それを自覚していなさいと

「そろそろ僕も寝ます」

「そうするかのお」