何も知らない僕たちは

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「大丈夫か!?」

「…き、鬼太郎か?た、助かったのら」

つい先ほど顔見知りの妖怪が暴走しているとの声を聞きつけてここまで飛んできた。普段はおとなしいのだがその力は想像以上にすさまじく、守りに徹し、なかなか応戦することが
できなかった。
そのうちにフッと力が抜けたように倒れ込んだ

「何があったんだ?」

「わかんない、けど散歩してたらいきなり目の前が真っ暗になって…決して僕の意志なんかじゃ…!」

「信頼してるから分かってるよ。もしその言葉に嘘がなければ誰かに操られた可能性が高い」

何か手掛かりがないか身元を探してみると背中に何かお札のようなものが貼られていた。もう粘着力はなく、それははらりと落ちて自然と燃えて消えてしまった

「ああ…消えちゃった…」

「鬼太郎何か分かったか?」

「一瞬だけでしたけど、お札にダイウイキョウの印が見えました」

「だいういきょー…?」

「実の形が星に似ていることから別名スターアニスとも呼ばれておる。お香や香辛料、薬として使われている植物じゃ」

「はっきり分かったことはこれは人為的であるということと、おそらく主犯は人間であるということ。
しかし何故人間があえて妖怪を狂暴化するようなことをしたのか…」

「目的は見えずじまいじゃの。ぶり返しに大きく関わっているだろうに。
ひとまず今日のところは帰るとするかの。鬼太郎、途中まで送ってやれ」

「はい父さん」






「わあ…!なんだかカレーみたいな匂いがするのら!」

「確かダイウイキョウも使われていたのぉ。あのお札の印は間違いなさそうじゃな」

鬼太郎はおそらくお札からしたであろうダイウイキョウの甘くもスパイシーな香りに酔いしれながらカヲルのことを思い出していた

困ったことにいくら彼女に未練を聞き出しても分からない、心当たりがないの一点張りだった。でも嘘をついているとは全く思えないし、つく利益も彼女にはない。いよいよ本当に成仏できる兆しがふさがれてきたと頭の片隅でため息をつくも、心のどこかでこれでいいと思っている自分もいる


『結局我儘なんだな…どちらにしろカヲルちゃんとは別れないといけないのに…』

「…ろう…鬼太郎!」

「うえっ!?何!?」

「僕こっちらから。送ってくれてありがとう!」

「あ、うん、いいんだよ」
いけない、ここまで支障が…











鬼太郎の帰りを待つカヲルはトランプをいじくってた。これで遊んでくれようとしたのだがいきなり血相を変えて家を飛び出していったもんだから、カヲルは確定で一人留守番することとなった
彼は必ず帰ってくると信じているのだが一人でいてもどうも暇で仕方がない。散歩などをしたい気分だが勝手に出ていくとまた叱られてしまう。トランプタワーを作りながら待つことにした


「鬼太郎ーいるー?」

猫娘が部屋に入ってきたがカヲルは集中していて気が付かない

「ちょっとあんた!」
うしろから肩をぽんと叩くとカヲルはビクっと体を震わせる。トランプタワーはあっけなく崩れてしまった。カヲルはぷくーと頬を膨らませて怒り顔でこちらに振り向いた

「ご、ごめん…
ってそんなことより鬼太郎は?どっか行ったの?」

カヲルは頷いた

「その調子じゃどこに行ったか分かんなそうね…
仕方ないけどここで待たせてもらうわ」
と猫娘は適当な所に座る。

「貴方も大変ね…」

後日鬼太郎からある程度事情を聴いていた猫娘は言葉を漏らす。







<僕はカヲルちゃんを守りたいんだ。身体的にも精神的にも>










『羨ましい…』

カヲルは訳が分からず首を傾げるが、ぱっと顔を上げるとトランプを切り出した

「何よ?なんかするの?…ああババ抜きね」
一つだけとり出されたジョーカーを見て気づく




意外にもカヲルには運がないようだ。顔には出ないが引きの出が悪い。そのたびにカヲルは膨れっ面でもう一回とせがんでくるので心なしか妹のように見えてくる


「あ、貴方の勝ちよ」

n回戦目、猫娘が机の上に出したジョーカーを見てカヲルは顔をぱぁと輝かせる。嬉しさのあまり周りを飛び始めた。本当に12歳だとは思えない程の素直っぷりに呆れつつも不思議と何も言う気がなくなってくるのだ

『この子には、人を巻き込む力がある。良くも悪くも。ちゃんと話せて生きていれば友達もできただろうに…』



「ただいま、ごめんカヲルちゃん留守番任せちゃって…」

「あ、鬼太郎」

「…猫娘…カヲルちゃんに何かした?」

「別にトランプでババ抜きしてあげただけよー」

「そう…(あんな喜んだ顔してたとは…)」

急な外出を後悔した鬼太郎であった
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