貴方が来るまで…
名前
ノエラモンスター
ガスター博士に作られた娘
受動的な性格
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「…どうだった?」
「間違いない、今アルフィーと連絡が取れた。あの子は亡くなったガスター博士の娘だ。今までアルフィーとともに生活していたようだが…本人はこちらで預かってもいいそうだ」
「え?」
『きっと私みたいなへなちょこよりも家族を持っている王様の方がお嬢ちゃんにとって暮らしやすいと思います…研究員の身でこんなことを頼むのは図々しいことは十分承知していますが…お嬢ちゃんのことよろしくお願いいたします』
「そんな…」
「私も今はアルフィーから放した方がいいと思う。彼女は今アマルガムの件で手がいっぱいだからね」
「…………そうね
どんな事情であれ、子供に罪はないもの。うちで育てましょう」
「君、名前は?」
「ノエラ」
「そうか、私はアズゴア=ドリーマー。この国の王様だよ。こちらは奥さんのトリエル」
ガチャリ
「おはよう、あら、もう体調はいいの?」
「とりえる?」
「そう、トリエル。うん、熱はもう大丈夫そうね。一緒に朝ご飯を食べましょう。こっちにいらっしゃい」
「あ、ママおはよう」
「おはよう、今日も元気な我が子たち」
「あの子は元気になった?」
「ええ、もうすっかり。心配かけたわね。
ノエラ、この子は息子のアズリエルでこっちがキャラ。
貴方はこれから私たちと一緒に暮らすの。仲良くして頂戴」
「初めまして!僕のことはアズって呼んでいいからね」
「あず」
「…」
「もー、キャラ挨拶ぐらいしなよ」
「いいよ、あず」
「みんな、早くご飯食べないと冷めちゃうわよ」
「はーい」
キャラ…あれはニンゲンだ。初めて見た
確かにあずととりえるは白い毛でふさふさしているのに対してキャラは私と同じ肌をしている
この世界にニンゲンが来るなんてこと可能なのだろうか
「あずごあ」
「ん?どうしたんだい」
「きゃらはどこから来た?」
「………彼は、落ちてきたんだよ。地上の世界から。それを息子が見つけて家で引き取ったんだ
…本当はニンゲンは私たちの宿敵であるし、バリアを壊すタマシイの源でもある。だからこんなことしたらご先祖様に叱られちゃうんだけどね。
けれども息子を見ているとどうもそんな気がしなくなってくるんだ。今や彼は息子の大事な友達だよ」
「もし、きゃらが帰りたいって言ったら…
みんなは帰す?」
「難しい質問だね…
その時によるかな。今の状態ではそれは不可能だけれど、彼がそう望むなら命がけでその方法を見つけるかもしれない
そんなこと考えたこともなかったな…
なんせ彼は何故か元の世界に帰りたがらなかったから」
そう言ってアズゴアは笑った。その拍子でふさっと動いたあごひげにいつか触ってみたいと思った
「ノエラ、こっちへおいで」
連れてこられたのは大きな部屋。真ん中には大きい椅子が二つ置いてあった。窓ガラスからちらちら差し込む光は幻想的な雰囲気を醸し出していた
「どうだい?」
「とても気分がいい。ここに花とか植えたら育ちそう」
「ははは、玉座に花か。いつか仕事が落ち着いたらやってみよう
私もここはお気に入りでね、時々足を運ぶんだ」
「……………
みんなは地上に出ることを望んでいる…?」
「そうだね」
「けど私は分からない。自分がどうしたいのか、このままで幸福なのか苦痛なのか…
このままみんなといても…」
「その答えは…自分で見つけるものだ。私が言ってもきっとしっくりこないだろう
ただ、君の父親は偉大だった。地下世界に追いやられて、どうすればいいのかと絶望していた時に、君の父親は住処を提供してくれた。もう一度、日の光を浴びることができるんじゃないかという希望を与えたんだ。
前を向きなさい。そして君がその父の娘であることをもっと誇りなさい」
おとうさんは時々ぶっ飛んだことをし始めるが嫌いではなかった。私は作り物
おとうさんが私に娘という称号を与えてくれた。
自分がなんであるかを
じゃあ、亡き今は私は一体何なのか…
おとうさんのことを褒められてくすぐったい気もしたけれど、失ったことを悔やんだ自分もいた