貴方が来るまで…
名前
ノエラモンスター
ガスター博士に作られた娘
受動的な性格
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「ノエラ、今日からここで暮らすのよ」
家を出て行った私とママは遺跡を住処とした。そこに元居た私たちの家にそっくりな一軒家がぽつんと建っていた
「あの人がここに同じホームを建てたの。ノエラが離れても生活に慣れるように。わざわざそんなこと…余計なお節介ね」
「パパ…」
「あなたは、三人は、いつもここで遊んでいたそうね」
「うん、今でも思い出すよ」
「……そんなに悲しそうな顔をしないで。貴方は一人じゃない。都よりは物は少ないけど、ここにも楽しいことはいっぱいあるわ。貴方に勉強を教えてあげます。週末はいっしょにお菓子を作りましょう。それから……退屈になったら私と虫取りに出かけましょう!こう見えて虫を探すのは得意なのよ。ふふふ、」
きっと私を喜ばせようとしているのだろう。けれど、私にはママは無理をしているように見えた
「ありがとう、ママ」
その後、この地下世界には何度もニンゲンが落ちてきた。ママはそのニンゲンたちを保護した。けれど、全員がこの遺跡から出て行った。理由は決まって
「僕/私には帰るべき家があるから」
ママもその子たちにも大事な家族がいることを分っていたから、彼らが帰りたいと言った時には快く承諾して、都への行き方を教えた。
だが、ママも私もその後の彼らは知らない。確かめようがなかった。きっと無事に帰れたことを願っていたが、
ここに落ちて来たニンゲンの人数がその残酷な事実を物語っていたのを私は薄々感づいていた
「はあ…」
この遺跡で生活してかれこれ数年。閉じ込められた空間でママは少しやつれていた
そろそろママの誕生日。その日だけでも笑顔にさせたい
そうだ、ママはカタツムリパイが好きだ。サプライズでママにプレゼントすればきっと喜んでくれるはず
しかし、丁度冷蔵庫のカタツムリは切らしていた。遺跡の中を探してもパイに必要なほどの量は取れなかった
「どうしよう…」
その時、ふとアズリエルが言っていたことを思い出した
『ウォーターフェルにはカタツムリがたくさんいてカタツムリパイ好きのママもよく来るんだ』
私は迷わず足を動かし、ママに見つからないようにこっそりと遺跡を出た
「よし、これぐらいなら…」
じめじめしたウォーターフェルにはカタツムリが豊作だった。急いて家に帰ろうとした時、
背後からガシャン、ガシャンと金属音が聞こえてきた
振り向くと鎧が立っていた。目が白くギラギラと光り、私を捉えている
「ニンゲン…タマシイを差し出せ」
鎧は私に槍で攻撃を仕掛けてきた
「ちが…私は…!」
とっさによけて交渉を試みたが無駄であることを悟ると、一刻も早く遺跡に逃げ込もうと足を必死に動かした。
途中、スノーフルのまちで住民を見かけたので助けを呼ぼうとした
「おねがい、たすけ
「きゃああああああああああ!ニンゲン!!!」
その声をきっかけにしてその他の住民たちもわらわらと集まってきた
「ここにニンゲンの場所はない!」
「私たちの町から出ていけ!!」
「アズリエル王子を俺達の自由を返せ!!」
ああ、離れたいのに、逃げたいのに、足が震えて動かない。
これが、恐怖
そうこうしているうちに鎧に捕まって押し倒されてしまった。身動きが取れない
「てこずらせるなニンゲン!とうとう捕まえたぞ!!」
「アンダイン!!」
「そいつを倒してくれ!!」
アンダインと名乗る鎧は槍を私に向かって振りかざした
こんなことになるなら、別の方法をとればよかった。
ごめんなさい、ママ。キャラ、アズ、今行く
「よしたまえ!!!」
「…!王!」
「アズゴア様!」
「ドリーマーさん!」
ここまで駆け付けてくれたのはパパだった
「その子はモンスターだ!耳は獣のようだし、手の指も四本しかない。」
「…確かに…文献とは姿が少し違う」
「でも、ほぼ同じじゃない…」
「もし疑うというのなら、私が保証する!命を懸けてでも
だからみんな大丈夫だ」
「…王様がそういうのなら…」
「かえろ、帰ろ」