貴方が来るまで…
名前
ノエラモンスター
ガスター博士に作られた娘
受動的な性格
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パパとママが呼んだ医者は間に合わなかった。二人ともしばらくキャラのベッドの上で泣いていた
しばらく後にアズリエルは二人に最後にせめて思い出の場所に連れていきたいと懇願し、私と二人で例の遺跡に来ていた
「アズ…」
「行かなきゃ…キャラの思いを無駄にしたくない」
アズリエルはキャラの亡骸を抱え彼のタマシイを取り込んだ。アズリエルの姿は見たこともない形相に変化した。背は私よりもずっと大きいし、頭にはママに遺伝した長い角が生え、目はモンスターという名にふさわしい恐ろしく鋭い目つきに変わっていた
「怖い?」
少しおかしな反応をしてしまったのかアズリエルに心配されてしまった
「ううん、でもいつものアズの方が好きだな」
アズリエルは笑った
「昔ね、キャラが話してたんだ。あの金色の花を地上の世界で見たことがあるって。きっとそこがキャラの話してた故郷の花畑だ。」
「…」
「ここからは僕一人で行くことになる。ノエラは家に戻ってて。すぐに帰ってくる」
「…アズ…無事でいて」
私はアズリエルの大きな鼻が縦に動いたのを確認すると家へ足を進めた
なんだか嫌な予感がしてならない
「アズリエル!!!!」
王室から聞こえたパパの声を聴いてママと私は一目散に駆け付けた
そこには傷だらけになって帰ってきたアズリエルがいた
「アズリエル!!/アズ!!」
駆け寄って傷の状態を見ると、槍が何本も背中に深く刺さり、その他正体不明の武器で傷つけられた跡が数十か所にも渡ってあった。随分長い間この状態だったようでアズリエルはもう持たない
「アズ!?これ誰にやられたの!?みんなニンゲンがアズをこうやって虐めたの!?」
「ノエラ…ごめんね、キャラの亡骸置いて…きちゃった。でも花畑には着けたよ。せめてそこに寝かせておけたから…」
「アズのばかっ!!そんなこと聞いてない!
やめてよ、もう誰も消えないでよ……!」
「…ノエラ、僕の友達でいてくれて、家族になってくれてありがとう…」
呟くとアズリエルの体は塵となって消え、王国にアズリエルの塵が降り注いだ。私は最後まで握っていたアズリエルの手だったものをいつまでも見続けていた
キャラが死んでも、アズリエルが死んでも、私が泣くことはなかった。悲しみに暮れているパパとママをよそになんてひどい奴なんだ。何故。胸の虚しさは確かにあるはずなのに、一向に涙は出てこなかった。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
泣けなくてごめんなさい。
「あなたどうして!」
「駄目だ、今後地下世界に落ちてくるニンゲンはどんな事情であれ生かしては置けない」
ある日の夜、こんな会話を聞いてしまった
「アズリエルを虐げたニンゲンが全てではないはずよ。多種多様なモンスターがここで暮らしているのと同じように!あなたも心の底ではわかっているんでしょ……?」
「………だが今回の件でニンゲンに恨みを持つモンスターは増えた。私がそのことを撤回したとて納得してもらえるはずがない…」
「それを何とかみんなを説得するのが王様の役目でしょう!?」
「何より、もうあんな悲劇を引き起こしたくない。その原因となる芽があるのなら引き抜くだけだ。
そうでもしなくては、あの二人の命の損失が無駄になってしまう。彼らの意志を私が継がなくてはならないんだ」
「…………あなたはニンゲンとモンスターの橋を分つことが二人の意志だって、そう言いたいの?
はあ、貴方にはあきれました。
私はノエラを連れて出ていきます。邪魔者がいなければ制度を続けやすいですもの。好きになさい」
そんな…二人ともあんなに仲が良かったのに…
私のせい…
「パパ、ママ…」
「ノエラ!」
「キャラとアズのこと…あれは計画だったの…!」
「「!」」
「キャラがバリアを壊すために自ら毒を…それでアズがキャラのタマシイを使って六つニンゲンのタマシイをとってバリアを壊す予定だったけど、アズはニンゲンに虐められて死んじゃってそれで…」
ぽんと頭に置かれたのはママの手
「そうだったの…嘘をつかれていたのは残念だったけど…
ごめんね、一人抱え込ませてしまって。独りみんなを失っていくのを見るのは辛かったでしょう?
きっとキャラもアズリエルも人を思って去って行ったんでしょう。わかるわ、あの子たちは優しくて大事な我が子ですもの」
いつものようにママが抱きしめてくれた
「けど、これはこちらの問題なの。分かって頂戴。残念だけど、パパとはお別れになるわ。大丈夫よ、私一人でもちゃんと面倒見てあげます」
頭はもう真っ白だった。バラバラになった家族。キャラ…これが本当にあなたが望んだことなの?
「ノエラ今日はもう遅いから寝なさい」
「そうね、今日は本を読んであげるわ」
そもそも、私はここにいていいの?ニンゲンでもモンスターでもない私はどうすればよかったの?
おとうさん、なんで私をニンゲンにしたの?