思い出

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「見て、葉っぱで船作ったよ!」

さくらんぼは器用だな」

「ゆうま君にもできるよ。ほら、ここをこうやって…」

「むう…あ、破けちゃった。やっぱり才能じゃない?」

「そんなことないのに…私の元居たところではよくやってたよ。お母さんとか…
会いたいなあ…」

「そこってどんなところ?」

「うーん、あったかかったり、暑かったり、涼しかったり、寒かったり?」

「なんだそんなところ…聞いたことないぞ…」

「楽しいとこがいっぱいだよ。ここみたいに大人の人が武器を使って戦いなんてしない…」
しゃがんで顔をうずくて言った悲しそうな言葉

「幸せな所だな…おれも戦いは嫌だ」

「ここよりはずっといい。まーにーがいなかったらたぶん死んでた。
おうち帰りたい…」

<どうやら玄界の子だというのは本当らしいな>

「「わっ!!!」」

「うさぎさん!!」

<ウサギではない自立型トリオン兵だ。初めましてさくらんぼ、私の名はレプリカ>

「可愛い!!」
話を全く聞いていない様子だったけれど元気そうで安心した

「うさぎさんはゆうまくんのペットなの?」

<私はユーマのお目付け役だ>

「ふーん」

さくらんぼ、本当に玄界に帰りたいならユーマの父であるユーゴに何か聞くといい。彼はもともと玄界の人間だからな>

「ゆうまくんのおとうさん…」

『ああ、そんなに悲しそうな顔をしないで欲しい。笑っている方が奇麗なのに…』

「あ、お舟流そう」

「え?流せるの?」

「うん!」
さくらんぼの作った小さな舟は小川をゆっくりと進んでいった。おれたちはそれが見えなくなるまで追いかけた

「…あのお舟ママとパパのところに届いてるといいな」
言えなかった。君の住んでいるところはきっと別の星だからこの川は家には続いていない、なんて…

「ゆうまくん、鬼ごっこしよう!」

「え?」

「ゆうまくんが最初鬼!十秒したら捕まえに来て!」

「ちょっと!」
さくらんぼはふふっと笑いかけ林の奥に行ってしまった
だからその顔に弱いんだって……









「そろそろ経ったか。……ちょっとだけ手を抜いておこう…」



その時あいつの耳を裂くような叫び声がこちらまで届いた


「!レプリカ!上空からあの子を探してくれ!」
<承知した>
怖くなった。ここはいつ戦いが起きてもおかしくない世界だ。トリオン兵がクニに侵入してくることなんて数えられない程ある。もしあの子に何かあったら…
林の中を走りながら心拍数はどんどん上がっていった

<ユーマ、こっちだ!>

レプリカがいち早く見つけたようでそちらに足を急がせる。

着いたのは庭の杭の向こう側、崖に一本だけ生えている枝に必死でしがみついていた

さくらんぼ!なんでこんなところに!」

<逃げるのに夢中になって足を踏み外したようだ。
ユーゴを呼ぶか?>

「…いや」

そうだ、親父はいつも訓練するときに言ってた「武器は誰かを傷つけるためにあるんじゃない、自分を、大事な人を守るためにあるんだ」って
トリガーはまだ使うなって言われてるけど…

「自分の大事な人は…自分で守る!」
迷わず発動させた

戦えなくったってできることはあるはずだよ


「レプリカ、これを外れないところに引っ掛けてくれ!」

<心得た>
おれの武器はワイヤー製の刃物。これでうまく引きずり出せるかもしれない

さくらんぼ!今ロープを下すからそれに捕まれ!」

長さはギリギリだった。カヲルはやむを得ず刃物の部分を触れなくてはならなかった

「うっ……」
カヲルが痛そうに少し悲鳴を上げた。それでも、その小さな力で武器にしがみついた

「捕まった!」

「よし、今引き上げる!もう少し頑張れ!」











無事さくらんぼを救出した。いつも使わないところを使ったし、心臓はただじゃ済まなかったし、疲れた…

「大丈夫…か…?」

「うん…何とか…」

「あ」

「?」

「タッチ」

「……あ、私たち鬼ごっこしてるんだった」

「ね」

「じゃあ私が次鬼?」

「ばか!そんなのでまだ遊べるわけないだろ!」

「大丈夫、大丈夫…おっとっと…」

「危ない…!
やっぱり心配かけるから戻ろう」
さくらんぼは渋々受け入れておれの後をついていく

「ねえ、」
抱きしめられた感触がして振り向くと、

「さっきのゆうま君凄くかっこよかった!」






ああ、これだ。心臓が絞られるようにキュッとした痛み

どうして君はおれを狂わせる言葉しか言わないんだ…
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